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AirPodsはAppleの新しいプラットフォームとなり得るのか?


AppleのAirPodsはBluetooth接続のワイヤレスイヤホンで、簡単にiPhoneと接続できるほか、ノイズキャンセリング機能やSiriへのアクセス機能も搭載しています。そんなAirPodsの持つプラットフォームとしての可能性について、インターネット向け決済インフラを提供するStripeのエンジニアであるジュリアン・レール氏が解説しています。

AirPods as a Platform « julian.digital
https://julian.digital/2020/04/19/airpods-as-a-platform/


レール氏はプラットフォームを「サードパーティの開発者がその上に構築できるもの」と定義しています。例えばiOSは、Appleが一連のAPIを提供することにより、タッチインターフェースやジャイロスコープ、センサー、カメラなどの入力機能を用いたアプリケーションを開発者が構築できる「遊び場」となっており、プラットフォームと呼ぶにふさわしいといえます。


アプリケーションが増えれば増えるほどプラットフォームにユーザーが集まり、ユーザーが増えれば開発者が集まり、さらにより多くのプラットフォームが開発されます。これは古典的なフライホイール効果であり、スマートフォンのOSがiOSとAndroidの2つに限られる理由であると、レール氏は述べています。

レール氏は「現時点では、AirPodsはプラットフォームではありません」と述べています。これはAirPodsが、開発者が活用できる独自の入出力機能を提供していないから。ノイズキャンセリングや外部音取り込みモードはAirPods独自のものではない上に、開発者がこれらの機能をコントロールすることはできないので、「AirPods独自の機能を使ったアプリケーション」を開発することはできません。


AirPodsはiPhoneと常時接続されることから、AirPodsに適したオーディオアプリやオーディオコンテンツを生み出すため、プラットフォームになり得るという意見もあります。しかし、実際はオーディオアプリを使う上でAirPods以外のイヤホンやヘッドホンを使っても問題はありません。AirPodsをプラットフォームにするためには、AirPodsの体験の一部を開発者に開放し、その上で新しいものを作ることができるようにすべきだとレール氏は主張しています。

そこで、レール氏はAirPodsの全てのモデルで使うことができる、音声アシスタントのSiriを開発者に開放すれば、独自の新しいプラットフォームを構築できる可能性があると指摘しています。

しかし当然の話ですが、Siriを開発者に開放しても、AirPodsではなくSiriがプラットフォームになります。Siriは1つのデバイスのためのインターフェースではなく、デバイス間を結び付けるためのインターフェースに過ぎないため、Siriを開発者に開放することがAppleにとって最善の選択肢となるとは限らないと、レール氏は指摘しています。


AirPodsでは音声のほかに、物理的なボタンをクリックすることで再生・一時停止・曲送り・ノイズキャンセリング機能の切り替え・Siriの呼び出しなどを行うことができます。例えばお気に入りの曲やポッドキャストに対して「いいね」をするというアクションをボタンに割り当てることができれば、新しいアプリケーションを構築できる可能性もあります。

仮にAirPodsのボタンをユーザーが自由に使えるようになれば、選択肢を選ぶようなインタラクティブなオーディオブックも可能になるかもしれません。レール氏は「開発者に一連のツールを提供するだけで、開発者はこれまで考えもしなかったユースケースを思いつくでしょう。これがクラウドソーシングによる価値創造です」と述べています。

もちろん物理的なボタンである必要はありません。加速度計が組み込まれているのであれば、うなずいたり首を振ったりしてオーディオコンテンツを操作できる可能性もあります。また、Apple Watchと組み合わせることで、新たなプラットフォームとしての可能性も開拓できます。


レール氏は「AppleはAirPodsを単体のプラットフォームにすることにあまり興味をもっていません。iPhone、というよりもiOSはAppleが大切にしているコアプラットフォームです。Appleのエコシステム戦略はiPhone・Apple Watch・AirPodsという複数のプラットフォームをまとめたものであり、AirPodsはiPhoneのエコシステムにユーザーを縛り付けるアクセサリーという存在であることに変わりません」と述べました。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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