「新型コロナのワクチンを接種しない」と考える人はどのくらいいて理由は何なのか?
アメリカやヨーロッパでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種がスタートしていますが、ワクチン供給の見通しが立たないとして接種の予約が取り消されたり、ワクチン接種施設の開設が遅れたりと、混乱が生じています。また、集団免疫を達成するには多くの人がワクチンを接種する必要があるにもかかわらず、ワクチン接種を拒否する人もいることから、「なぜ人はワクチン接種を拒否するのか?」を研究者らが調査しました。
Why the next major hurdle to ending the pandemic will be about persuading people to get vaccinated
https://theconversation.com/why-the-next-major-hurdle-to-ending-the-pandemic-will-be-about-persuading-people-to-get-vaccinated-153847
調査を行ったのは、テキサスA&M大学のティモシー・カラハン氏やオクラホマ州立大学のマット・モッタ氏らの研究チーム。カラハン氏らは、なぜ人々がワクチン接種を拒否するのかという理由がわかれば、「誰に対し」「どのような情報を提供することで」ワクチン接種を促すことができるのかが明らかになると考え、調査を実施しました。
5009人のアメリカ人に対して調査を行ったところ、まず判明したのは回答者のうち31.1%が「ワクチンを接種するつもりがない」ということ。集団免疫を達成するには人口の70%以上が免疫を持つ必要があるといわれているため、これは非常に厳しい数字です。
また、ワクチン接種への意思にはいくつかの傾向がみられました。たとえば、女性のうちワクチン接種をしないと回答したのは35.7%で、これは男性の26.3%よりも高い数字。人種でいうと黒人の42.9%がワクチン接種を拒否するのに対し、白人においてこの割合は28.6%でした。また政治的な考えでいうと、ワクチン接種に否定的な人は保守派で37.8%、中間派で33.4%、リベラルで24.1%でした。
ワクチン接種を拒否する理由で最も多かったのは、「安全性に懸念がある」(18%)というもの。2番目が「ワクチンには効果がないと考えている」(16%)というもので、その後に「金銭的な余裕がない」(6%)、「お金がない」(6%)、「すでにCOVID-19にかかった」(3%)と続きます。理由においても性差・人種差などがみられ、特に安全性と効果について女性は男性よりも懸念を抱いており、また白人よりも黒人の方が「保険がない」「金銭的な余裕がない」という理由でワクチン接種を拒否する割合が高いことも示されました。
この調査結果を受けて研究チームは、「政治指導者や公衆衛生の専門家は、今後数カ月にわたって人々がワクチン接種に対して消極的であると認識し、人々をワクチン接種に向けて説得する必要があること」、そしてこれと同時に「保険の有無にかかわらず誰でも無料でワクチンを接種できると強調すること」が重要であると述べました。
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