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新CEO就任を発表したIntelが引退したCPUアーキテクトを再雇用、「エキサイティングな高性能CPUプロジェクト」が推進中とも

by Jernej Furman

Intelが新CEOの就任を発表したと同時に、一度は引退したベテランアーキテクトを再雇用したこと、さらには「エキサイティングな高性能CPUプロジェクト」が推進中であることも明らかになっています。

New Intel CEO Making Waves: Rehiring Retired CPU Architects
https://www.anandtech.com/show/16438/new-intel-ceo-making-waves-rehiring-retired-cpu-architects

Intel (INTC) earnings Q4 2020
https://www.cnbc.com/2021/01/20/intel-intc-earnings-q4-2020.html

Intelのボブ・スワンCEOが退任し、2021年2月15日付で新CEOとしてパット・ゲルシンガー氏が就任することが発表されました。ゲルシンガー氏はIntel486の設計者として活躍したのち、IntelのCTOに就任し2009年まで同社で働いてきたという人物。Intelを離れたのち、約10年にわたってVMWareのCEOを務めていました。

Intelの新CEOにパトリック・ゲルシンガー氏が就任すると発表 - GIGAZINE

by Fortune Brainstorm TECH

さらに、IntelはNehalemマイクロアーキテクチャのリードアーキテクトとして活躍したのち同社を退職していた元シニアフェローのグレン・ヒルトン氏を再雇用することも発表。なお、Nehalemマイクロアーキテクチャのリードアーキテクトとして活躍した人物には、ヒルトン氏のほかにRonak Singhal氏とPer Hammerlund氏がいます。Singhal氏は記事作成時点でもIntelで働いており、次世代プロセッサの開発に取り組んでいますが、Hammerlund氏はAppleに移籍して5年以上が経過しています。


ヒルトン氏は35年以上の経験を持つベテランアーキテクトで、IntelのP6マイクロアーキテクチャの設計においては上級アーキテクトのひとりとして活躍し、Pentium 4のマイクロアーキテクチャ開発ではチームを主導したこともあります。世界初のシングルチップのスーパースケーラRISCであるIntel i960CAの開発時にはリードマイクロアーキテクトとして活躍しました。なお、Intelはヒルトン氏の関わったCPU設計により90以上の特許を取得しているとのこと。

ヒルトン氏はソーシャルメディア上に「エキサイティングな高性能CPUプロジェクト」に取り組んでいると明かしており、「もしもこれが楽しいプロジェクトでなければ私はIntelに戻ってくることはなかったでしょう。ご存じの通り、引退というのはとても素晴らしいものなので」とも語っています。なお、ヒルトン氏は2020年の11月頃から復帰を持ち掛けられており、熟考してきたそうです。復帰の決め手となったのはゲルシンガー氏がIntelの新CEOに就任するという知らせであったと語っています。


テクノロジーメディアのAnandTechは「エキサイティングな高性能CPUプロジェクト」について、Intelの現在の成功を考えれば、このプロジェクトは財政面が理由となったものではなく、「何か新しいエキサイティングなことに取り組もう」という類のものであると考えられると指摘。そのため、少なくとも3年以上の開発期間が確保されているのではとしています。

加えて、ヒルトン氏の語った「エキサイティングな高性能CPUプロジェクト」がIntelの研究開発部門における新しいプロジェクトであると仮定すると、その成果が表れるまで3~5年の時間がかかる可能性があるとAnandTechは記しています。これは新しいプロセスノードテクノロジーを対象とした設計である可能性もあるとして、AnandTechは「ヒルトン氏のリードアーキテクトとしての専門知識は、Intelの研究開発部門におけるどの段階にも適用できるものですが、おそらく開発の初期段階からその知識を提供するのが最適です」と記し、全く新しいマイクロアーキテクチャの開発がスタートする可能性に期待を膨らませています。

また、ゲルシンガー氏がIntelの新CEOに就任するという発表に対して、多くのアナリストが「製品サイクルを考えると、3年以上経過しなければゲルシンガー氏が就任してからの効果は確認できない」と述べています。しかし、AnandTechはこれを完全に否定し、「ボブ・スワンができなかったレベルでエンジニアと製品設計について話し合うことができる」と主張。実際、ゲルシンガー氏は就任前からベテランアーキテクトの復帰に一役買っていると述べました。


なお、Intelは現地時間の2021年1月21日に2020年第4四半期(10~12月)の決算を発表しています。2020年第4四半期の決算によると、同期の売上高は200億ドル(約2兆円)で前年同期比では1%減となっています。これにより、2020年の年間売上高は前年比で8%増の779億ドル(約8兆円)という過去最高の数字をたたき出しました。

Intelは2021年第1四半期の売上高が186億ドル(約1兆9000億円)程度になると予測しています。

Intel Reports Fourth-Quarter and Full-Year 2020 Financial Results :: Intel Corporation (INTC)
https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1439/intel-reports-fourth-quarter-and-full-year-2020-financial

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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