オランダ当局がイギリスからの入国者が持つ「ハムサンドイッチ」を没収する理由とは?
イギリスはドーバー海峡を通る英仏海峡トンネルによって自動車でフランスまで行くことができるほか、フェリーを使ってフランスやオランダ、スペインへ入国することも可能です。ところが2021年に入って以降、オランダの当局者はイギリスからの入国者が持つ「ハムサンドイッチ」を没収するようになっており、入国者らが困惑していると報じられています。
Naar Engeland? Zo gaat het dan nu aan de grens met de douane na brexit - EenVandaag
https://eenvandaag.avrotros.nl/item/naar-engeland-zo-gaat-het-dan-nu-aan-de-grens-met-de-douane-na-brexit/
Dutch officials seize ham sandwiches from British drivers | Brexit | The Guardian
https://www.theguardian.com/politics/2021/jan/11/dutch-officials-seize-ham-sandwiches-from-british-drivers
Dutch cops laugh and say 'Welcome to Brexit' as they confiscate Brit truck driver's ham sandwiches over new import rules
https://www.thesun.co.uk/news/uknews/13713189/dutch-cops-brexit-confiscate-ham-sandwiches/
イギリスは2016年に行われた「EUから離脱すべきか残留すべきか」を問う国民投票でEUからの離脱が選択され、2020年12月31日をもってEUから離脱しました。この影響によりイギリスでビジネスを行うさまざまな企業の活動に影響が出ており、Facebookがイギリスのユーザーデータをアイルランドからアメリカの本社に移管すると発表したほか、8万件におよぶ「.eu」ドメインが凍結されていることも報じられています。
新たに報道された「オランダ当局がイギリスの入国者からハムサンドイッチを没収している」という事例も、イギリスのEU離脱による影響だとのこと。以下の埋め込みムービーの1分5秒あたりで、オランダの当局者がイギリスのドライバーからハムサンドイッチを没収する際のやり取りを見ることができます。
Naar Engeland? Zo gaat het dan nu aan de grens met de douane na brexit
まだ日が昇る前の午前7時30分。イギリスからのフェリーが北海に面したオランダ南西部の町、フック・ファン・ホランド港にあるフェリーターミナルに入港しました。
大型のフェリーには貨物を積んだトラックなども積載されている模様。
視認性の高いジャケットを着た国境の税関職員がドライバーたちに声をかけ、持ち物の検査を行っています。
職員はドライバーに対し、「ブレグジットのため、肉・果物・野菜・魚をヨーロッパに持ち込むことは許可されなくなりました」と通達。EUの規則では、EU圏外からの入国者は「個人的な消費」が目的であっても肉や乳製品の持ち込みを禁止されており、イギリスがEUを離脱したことでイギリスからの入国者も規制の対象になってしまったとのこと。
声をかけられたドライバーの所有物で問題となったのは……
アルミホイルに包まれたサンドイッチ。
サンドイッチの具材に肉が入っていることをドライバーに確認すると、「わかりました。全て没収です」と職員が宣言。ドライバーは驚いた様子で「本当に?」と聞き返します。
ドライバーは、サンドイッチから肉を取り出してパンだけでも持ち込めないかと尋ねますが……
「ダメです。全て没収です」と答える職員。
思わぬ事態に笑うしかないドライバーに対し、職員は「ようこそブレグジットへ。申し訳ありません」と言いました。
欧州委員会はEU圏外からの食品持ち込みの規制について、肉や乳製品に動物の病気を引き起こす病原体が含まれている可能性があるためだと主張しています。イギリス食肉加工業者協会の広報担当者は、「結局のところイギリスがEUにとって第三国となった今、規則は規則です」とコメント。イギリスの環境・食糧・農村地域省はヨーロッパに渡る人々に対し、国境をまたぐ前に禁止されている食品を「使用、消費、または処分」するべきだと述べました。
イギリスではEUを離脱した2021年1月1日以降、すでにスーパーマーケットでの食料不足などが発生しているそうで、オンラインスーパーのOcadoはユーザーに対して「イギリスにおけるサプライチェーンの変更は一部のサプライヤーに影響し、今後数週間で欠品や代替品が増える可能性があります」と知らせるメールを送信しています。マイケル・ゴーヴ内閣府担当相は、港湾における問題が今後数週間でさらに悪化する可能性があると警告しました。
また、「イギリスのEU離脱によって渡航に必要な書類が無効になった」と勘違いした航空会社のスタッフにより、一部の旅行者が誤って飛行機への搭乗を拒否される事態も起きています。海外メディアのThe Sunによると、イギリスのEU離脱直後の2021年1月2日だけで9人のイギリス人が誤った搭乗拒否に巻き込まれたとのことです。
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