SNSを巧みに操りイギリスをEU離脱へと導いた知られざる選挙戦略の裏側を描く映画「Brexit」公式予告編第1弾公開
2016年6月に行われたイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票では、大方の予想を覆して賛成派が勝利を収めました。不利との下馬評を覆した勝利の裏には、SNSを巧みに活用して「存在しなかったはずの300万人」を攻略した選挙戦略部隊の存在がありました。イギリスのBBC Studios、Channel 4、House Productionsの共同制作で、どうやってブレグジットが起こったのかの舞台裏を描く映画「Brexit」の公式予告編第1弾が公開されました。
Brexit (2019) | Official Trailer | HBO - YouTube
「どちらが勝ったのかは誰もが知っている。だけど、どうやって勝ったのかは誰も知らない」
何やら話し込む二人。
「我々の世代で『最大の問い』が問われようとしている」
「(EUを)出るか、とどまるか」
「それにはリーダーが必要だ」
イギリスによるEU離脱賛成派が勝利した「Brexit」の背景にいたのはこの男、ドミニク・カミングス。
これは、信じがたい実話。
「我々の支持者が誰なのかを理解しなければいけない」
「彼らのハートに訴えかけるんだ」
聞き取り調査をしているようです。
老夫婦は「新しい人たちがやってきたわ」「そして、私たちは締め出されたんだ」と答えました。
ホワイトボードに向き合って、一心不乱に書き込み戦略を練るドミニク。
「私たちは、みなが自分たちの場所を知っていた時代を取り戻そうとしている。物事に意味があった時代だ。フィクションだろうがなかろうがね」
「政治システムをハックしなければならない」と訴えるドミニク。
「ハックだと?」
「私は政治マトリックスの変化について話しているんだ」
「ソーシャルメディアは『いいね』をクリックするのが好きな人を探すためにデザインされている」と話すソフトウェアエンジニア。
Brexitの鍵を握ったのはSNSの力。
「我々のソフトなら、いまだかつてターゲットにされてこなかった人を探し出して狙い撃ちできる」
「それは、決して投票しない人。いままで投票したことのない人たちだ」
それは、相手陣営が存在するとは考えてもいない人たち。
ソフトウェアエンジニアからのアドバイスを受けて、ドミニクは存在しないはずの300万人に狙いを定めることを決意しました。
「現実的な話、あなたの予想は?」と聞く記者。
「これまでで最大級の政治的な転覆が起こりますよ。ベルリンの壁崩壊以来最大のね」とドミニクは答えました。
「準備はいいか」
「ああ」
作戦が実行されました。
ソーシャルネットワーク上で、「EU離脱」を訴える数え切れないキャンペーンがスタート。
宣伝車の前で「コントロールを取り戻そう!」と絶叫するドミニク。
仲間でさえ顔を見合わせます。
こうして始まった「Vote Leave(離脱へ投票しよう)」キャンペーン
残り時間は2カ月強
「ついにイギリスのための闘いが始まった」
相手陣営も闘いを始動させています。
「Vote Leave」のポスターを貼り、中指を立てる女性。
「国を取り戻せ」と訴えるデモ。
みな、熱狂に包まれています。
警察が出動する騒ぎに。
「君は、恐れや憎しみに取りつかれた勢力に餌を与えているんだ。いったん箱を開けたら、もう閉じることはできないぞ」
「街には新しい政治が現れた。それは、君には決してコントロールのできないものだ」
EU離脱派が勝利した国民投票の裏に何があったのかを描くドキュメンタリー映画「Brexit」は、2019年1月19日にアメリカのHBOとイギリスのChannel 4でお披露目される予定です。
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