Intelが顔認証デバイス「RealSense ID」を発表
Appleはデバイスに顔認証技術を採用していますが、このような顔認証をATMやPOSなどで可能にするデバイス「RealSense ID」をIntelが2021年1月6日に発表しました。
Introducing Intel RealSense ID Facial Authentication | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/news/introducing-intel-realsense-id-facial-authentication/
Intel launches RealSense ID for on-device facial recognition | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/01/06/intel-launches-realsense-id-for-on-device-facial-recognition/
Intelは周囲の環境を知覚・理解し、学習する能力「RealSenseテクノロジー」を搭載したデバイスのシリーズを展開しており、これまでに深度計測カメラ「LiDAR Camera L515」やトラッキングカメラ「Tracking Camera T265」が登場しています。
そして新たに、2021年1月6日付けでIntelはアクティブ深度センサーと機械学習モデルを組み合わせて顔認証を実行するRealSense IDを発表。RealSense IDは人の髪型や眼鏡といった物理的特徴が時間とともに変化しても、それに適合するように作られているとのことです。また「さまざまな身長や顔色の人」について「さまざまなライティング」で問題なく機能するとIntelは述べています。
顔認証技術は一部の人の認証精度が低くなることが問題点として挙げられ、一度は法執行機関や警察によって利用されていましたが、誤認証や誤逮捕が多発したことから使用が禁じられる方向に転換しています。顔認証技術を開発していたAmazonも2020年6月に警察による顔認証技術の利用を1年間停止すると発表しており、IBMは差別と不平等を助長するとして顔認証市場からの撤退を表明しました。
このような状況の中で金融やヘルスケア業界は信頼できる顔認証技術を求めているとして、IntelはRealSense IDにAnti-spoofing(なりすまし防止)技術を搭載したと述べており、写真や映像、マスクといった「誤った入力」で認証される確率を100万分の1にしているとのこと。
そしてプライバシーを重視し、RealSense IDは顔画像の処理を全てローカルで行い、データは全て暗号化されるようになっています。またユーザーがアクティベートしないと認証が行われず、あらかじめ登録されたユーザーについてしか機能しないようになっていることに加え、Intelは「全てのIntelテクノロジーと同様にRealSenseの倫理的な応用と人権の保護に取り組んでいます」とも述べました。
RealSense IDは初期段階でスマートロックやアクセス制御、POS、ATM、キオスクなどへの利用が想定されており、最終的には財務や医療分野での利用も視野にあるそうです。
Intelのマーケティング責任者であるジョエル・ハグバーグ氏はブリーフィングにおいて記者団に対し「全ての民族をカバーできるように、私たちはアジア、ヨーロッパ、中東、アフリカなどといった広範囲のデータを非常に慎重に集めました」と述べています。なお、RealSense IDは2021年第1四半期に99ドル(約1万円)からで販売される予定です。
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