セキュリティ

アメリカ国土安全保障省が「中国企業のデータサービスや製品の不使用」を国内企業に勧告

by Charis Tsevis

アメリカ国土安全保障省(DHS)が2020年12月21日に、「中華人民共和国に対抗するための戦略的行動計画」を近日中に公開すると発表しました。この文書の中でDHSは、「中国と関係がある企業のサービスや通信機器を使用しないこと」を国内企業に強く要請するとしています。

Acting Secretary Wolf Addresses the Chinese Threat at Heritage Foundation | Homeland Security
https://www.dhs.gov/news/2020/12/21/acting-secretary-wolf-addresses-chinese-threat-heritage-foundation

DHS to issue China data security warning to U.S. businesses - Axios
https://www.axios.com/dhs-china-data-security-warning-to-us-businesses-0bc297b4-bbe0-4837-aee2-15231ea6945b.html

アメリカの大手保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が12月21日にオンラインで開催したイベントで、DHSのチャド・F・ウルフ事務局長代理が、中国を念頭に置いたDHSの基本方針についてのスピーチを行いました。

by U.S. Department of Homeland Security (DHS)

声明の中でウルフ氏は、「私たちがソ連崩壊に伴う冷戦の勝利を祝っている時、北京の共産党指導者たちは他人の過ちから学び、アメリカに挑戦する準備を固めていました。私たちの平和と繁栄の脅威は、今日では主に中国からもたらされています」と述べて、中国を危険視する姿勢を鮮明に打ち出しました。

その上でウルフ氏は、第5世代移動通信システム(5G)などを中心に台頭している中国製の通信インフラに言及。アメリカのネットワーク機器や機密情報などのデータが、中国企業が国際市場で不当な優位性を得るために使用されていると主張して、中国からもたらされるセキュリティリスクへの対策の必要性を訴えました。

またスピーチの中でウルフ氏は、新疆ウイグル自治区での強制労働によって生産されたとされる製品の輸入禁止措置にも触れて、現在実施されている綿と綿製品の違反商品保留命令(Withhold Release Order:WRO)を近日中に他の製品カテゴリーにも拡大させる計画を打ち出しました。

なお、WROに対してAppleやナイキ、コカ・コーラが反対のロビー活動を展開していることが、ワシントン・ポストらの報道により明らかになっています。

Appleは「ウイグル人強制労働防止法」に反対するロビー活動を展開している - GIGAZINE

by Andrew Guan

さらに、スピーチの結びでウルフ氏は「トランプ大統領が2017年に打ち出した国家安全保障戦略と、2020年の(PDFファイル)中国に対する米国の戦略的アプローチの報告書を元に作成された革新的な文書である『中華人民共和国に対抗するための戦略的行動計画』をDHSが間もなく発表できることをうれしく思います」と述べて、スピーチの中で語った国内企業への要請を勧告書にまとめて、近日中に正式発表することを明らかにしました。

政府高官から勧告書の写しを入手したというニュースサイト・Axiosによると、15ページの勧告書には中国企業が所有ないし運営するアメリカ国内のデータセンターや、中国製の機器を使用している国外のデータセンターなどのほか、モバイル機器とそのアプリやフィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスに至るまで、幅広いセキュリティリスクとその対策についての要請が盛り込まれていたとのことです。

ウルフ氏は勧告書の発表声明で、今後のDHSの方針について「中国政府に個人情報や機密データへの不正アクセスを許しかねない行為は、アメリカ経済と企業を直接的なリスクにさらすことになります。そこで我々は、企業が中国とつながっている企業との契約を行う前に十分な注意を払うよう、勧告します」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   セキュリティ, Posted by log1l_ks

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