「天安門事件に関するZoom会議を妨害した疑い」でZoomの元従業員が起訴される
アメリカ司法省は2020年12月18日、六四天安門事件に関連するイベントを開催しようとした中国反体制派のZoom会議に干渉して妨害したとして、Zoomの元従業員で中国国籍のジュリアン・ジン容疑者を起訴したと発表しました。
China-Based Executive at U.S. Telecommunications Company Charged with Disrupting Video Meetings Commemorating Tiananmen Square Massacre | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/china-based-executive-us-telecommunications-company-charged-disrupting-video-meetings
Former Zoom employee accused of censoring Tiananmen Square video meetings for Chinese government - CNN
https://edition.cnn.com/2020/12/18/tech/videoconference-app-chinese-government/index.html
2020年6月、アメリカを拠点に活動する中国反体制派の活動団体「人道中国」は、六四天安門事件の31周年記念イベントをZoomでオンライン開催すると発表しました。このイベントには当時の学生運動家や軍隊の武力行使によって亡くなった人の遺族、香港民主化デモの参加者など、およそ250人が集まる規模となりましたが、イベント開催後に主催者のアカウントが凍結され、アーカイブもすべて閲覧不可となってしまいました。
Zoomが天安門事件の記念イベントを主催した活動団体のアカウントを突如凍結 - GIGAZINE
by yuan2003
この事件について、Zoomが社内調査を行った結果、元従業員であるジン容疑者が会社の規定に違反して社内アクセス管理を試みていたことが判明しました。ジン容疑者は、複数の会議やアカウントを利用不可能にする行為に及んだほか、一部の個人情報を中国当局と共有していたこともわかったそうです。
Zoomは社内規定違反を理由に、ジン容疑者を解雇。関連が疑われる他の従業員についても、調査が完了するまで休職処分としたと報告しています。
国家安全保障担当次官補を務めるジョン・C・デマーズ氏は「中国で大きな事業利益を持つ企業は、中国共産党の強制力から免れることはできません。中国共産党は自らの手の届くところにある勢力を利用して自由の木を切り倒し、党による中国国民への弾圧についての言論の自由を抑圧するでしょう」とコメント。
FBIのクリストファー・レイ長官は、「自由は、我々の民主的価値を反映も支持もしない体制を支持する、中国共産党の情報機関による悪質な活動によって直接侵害されました。アメリカ人は、中国政府が言論の自由の抑圧を含む国際的課題を推進するために、中国で活動する企業を利用することをためらわないことを理解すべきです」と述べました。
なお、司法省によれば、ジン容疑者は記事作成時点で中国の浙江省にいることが確認されているそうですが、身柄は確保されていないとのことです。
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