レビュー

船と資源をやりくりして海運都市復権を目指す戦略ボードゲーム「アマルフィ」レビュー


アマルフィ」は、プレイヤーがかつて栄えた海運都市アマルフィの商人となって、15世紀のイタリアを中心とした世界を股にかけて交易を行い、売り上げで偉人を呼び集めたり、絵画や書籍などに投資を行ったりして、さびれた街の復活を目指すボードゲームです。自ら「重量級の戦略ゲーム」を名乗るこのゲームを、編集部員4人でプレイしてみました。

アマルフィ 日本語版第二版 | uchibacoya piece
https://uchibacoya.stores.jp/items/5e0aa9046c7d6355daf62e8e

◆1:内容物の確認
◆2:準備
◆3:ゲーム開始
◆4:まとめ

◆1:内容物の確認
「アマルフィ」のパッケージはこんな感じで、海沿いの街と小さな帆船が描かれています。


プレイ人数は1人から4人、プレイ時間は90分から120分、対象年齢は12歳以上です。


パッケージの中には、ルールブック、黒いメインボード、個人ボード、追加の個人ボード、赤・青・白・黒の4色の船コマ、食糧コマ、植民地コマ、スタートプレイヤーマーカー、5種類のカードが入っていました。


4つ折りのメインボードは広げるとこんな感じ。ヨーロッパから中東にかけての地図とカード置き場が描かれています。


個人ボードと追加の個人ボードは4枚ずつあり、プレイヤーそれぞれに1枚ずつ配られます。


個人ボードは大きく3つに分かれていて、上部が「香辛料」「小麦」「ワイン」「財宝」「織物」の5つの資源スペース、中央が海スペース、下部が本国スペースになっています。


追加の個人ボードはこんな感じ。赤枠で囲った部分が「食糧ゲージ」で、数字の位置に食糧コマを置きます。下部はゲームの流れの早見表、右は「植民地スペース」になっています。


船コマは船の形、食糧コマはパンの形をしています。植民地コマは灯台のような形で、スタートプレイヤーマーカーは羅針盤の形です。


カードは契約カード、人物カード、海図カード、決算カード、称号カードの5種類あります。


契約カードは青色の「建物」、緑色の「書籍」、赤色の「絵画」の3種類に分かれます。


フランシスコ・ザビエル」や「アメリゴ・ヴェスプッチ」など、実在の偉人も多数登場します。


海図カード、決算カード、称号カードはこんな感じです。それぞれ裏面に帆船のマーク、チェックマーク、リボンのマークが描かれています。


◆2:準備
まずはメインボードを中央に置きます。海図カードをシャッフルして裏向けにし、メインボード左側に山札として配置。その後、山札の上から5枚、メインボード中央の帆船マークのある位置に表向けに並べます。


契約カードも同じように、シャッフル後にメインボード左側に山札として置きます。メインボード上のスペースには6枚を配置。


称号カードをランダムに3枚選び、メインボードの右横に配置します。残った称号カードは使わないので箱に戻しておきます。


決算カードをランダムに4枚選び、メインボード左上のチェックマークの位置に並べます。残った決算カードは箱に戻します。


プレイヤーに個人ボードと追加個人ボードを配布します。また、「最近船に乗ったプレイヤー」がスタートプレイヤーとなるので、当該プレイヤーはスタートプレイヤーマーカーを受け取ります。なお、手番はスタートプレイヤーから時計回りで進めていきます。


プレイヤーはそれぞれ好きな色の船コマを選び、6個を個人ボード中段の「海スペース」、次の6個を個人ボード右下の「造船所」のうち数字の「3」から「8」の位置に置きます。


続いて、船コマ1個をメインボード左下に配置します。メインボードの左辺~上辺~右辺は「勝利点トラック」となっているので、ゲーム中で勝利点を獲得するたびにこの船を動かして、いま勝利点をいくら獲得したかを示します。


また、別の船コマ1個をメインボード右下の欄の「0」の横に置きます。ここは50点以上の勝利点トラックを示しており、勝利点が50点を越えるたびに「50」「100」と船を動かしていきます。


残った3個の船コマは、右上に置いた3枚の称号カードの隣に1個ずつ置いておきます。


続いて、追加の個人ボードにある食糧ゲージの「7」から「12」の位置に植民地コマを置きます。その後、スタートプレイヤーは「3」、2番手は「4」、3番手は「5」、4番手は「6」に食糧コマを置きます。


最後に人物カードの配置です。人物カードの右下を確認し、数字のアイコンが書かれたものと書かれていないものに分けます。数字のアイコンが書かれたものをそれぞれの数字ごとに分け、スタートプレイヤーは「1」のカード、次のプレイヤーは「2」のカードというように全員に配ります。配られたカードは各プレイヤーの手札として
、自分だけが見えるようにして管理します。


「数字のアイコンがない人物カード」からは「終了時系カード」を集めて箱にしまいます。残ったカードをシャッフルして裏向けにして置き、上から1枚ずつ取ってメインボード下部のスペースに並べます。これで準備は終了です。なお、初回プレイ時は準備とルール確認でおよそ1時間かかりました。


◆3:ゲーム開始
ようやくゲームがスタート。「アマルフィ」は4つのラウンドからなり、1ラウンドは「開始前の準備」「アクションフェイズ」「食糧フェイズ」「決算・準備フェイズ」の4つに分かれています。


ラウンドの「開始前の準備」として、プレイヤー全員でメインボード左上の決算カードの内容を確認します。決算カードは4枚ありますが、ラウンドごとに上から1枚ずつ処理していくので、このラウンドの場合に対象となるのは「建物 絵画 書籍いずれかの最大枚数×3勝利点」。カード内容は「決算・準備フェイズ」のときに処理します。


「開始前の準備」が完了したら、スタートプレイヤーから順に「アクションフェイズ」に入っていきます。このフェイズで行えるのは、メインアクション6種類、およびフリーアクション3種類。メインアクションは1回のフェイズに1つだけしか行えませんが、フリーアクションは手番中であれば任意のタイミングで任意の回数実行してOKです。


赤のプレイヤーはメインアクション「船コマの配置」を行い、個人ボードの海スペースにある船コマを、メインボード上の帆船のアイコンが描かれている「アクションスペース」へと動かします。アクションスペースにはアイコンで、行動時に支払う資源や得られる資源・効果が描かれています。アイコンの左上にある「↑」は支払い、「↓」は獲得、アイコン右下の数字はそれぞれの必要数で、この赤い船のアクションの場合、2食糧を支払って、2小麦を獲得します。なお、船コマを置いた上で「コストを支払わず、獲得もしない」というのもアリです。


赤のプレイヤーは、食糧コマを「3」から「1」に動かして、2食糧を支払い……


2小麦を獲得しました。資源別のトークンはなく、海スペースにある船コマを資源スペースに移動させることで「獲得した」ことを示します。


メインアクションを終え、フリーアクションはしないので、手番は次の黒のプレイヤーへ。すでに別の船コマが置かれたアクションスペースに重ねて船コマを置くことはできないので、黒のプレイヤーは4食糧獲得のアクションスペースに船コマを置きました。


4食糧を獲得した黒のプレイヤーの手元はこんな感じ。本来なら食糧ゲージを「4」から「8」に増やせるはずですが、植民地コマに遮られて「6」までしか増やせませんでした。


植民地コマは画像のようなアイコンのアクションスペースに船コマを配置することなどで取り除くことができます。


取り除いた植民地コマは「植民地スペース」に移動させます。


3番手の青のプレイヤーは2食糧を消費し、3香辛料を獲得しました。最初は手元に「船」と「食糧」しかないので、食糧支払いやノーコストでの資源獲得が中心となります。
メインアクションを全員で繰り返し行っていきます。


資源がたまれば、海図カードや契約カードを購入することができます。それぞれ、購入コストはカードの左上に描かれていますが、重要なのは、「描かれた数字は必要な資源に置かれた船コマの数ではない」という点です。


購入に使用するのは「ターリ」という通貨で、「船コマを資源スペースから海スペースへ動かす」か「船コマを海スペースから本国スペースへ動かす」ことで生み出します。たとえば、船コマを「香辛料」スペースから海スペースへ動かすと、船コマ1個あたり2ターリを得られます。小麦・ワイン・財宝・織物の場合は船コマ1個あたり3ターリ得られます。ただし、概念的なもので、コインやトークンはありません。購入時にターリが余って「おつり」が必要になるときは、その数だけ食糧に変わります。


たとえば、海図カード「聖ブレンダン島」の場合、購入コスト表記は「香辛料」と「6」。これは「香辛料から生み出した6ターリ」で購入できることを示し、小麦などの別の資源から生み出したターリでは購入できません。


順番が回ってきた青のプレイヤーは、香辛料の資源スペースにある船コマ3個を海スペースへ動かし「聖ブレンダン島」を購入しました。購入した海図ボードは自分の個人ボードの近くに置き、以後、自分だけのアクションスペースとして使えます。


どうしても購入したいがターリが足りないという場合は、海スペースの船コマを本国スペースに移すことで「緊急調達」として3ターリを獲得できます。このターリはあらゆる支払いに使用できるものなので重宝しますが、一方で、本国スペースに移した船コマは次のラウンドまで使用できなくなるので、本当に「最後の手段」です。


空きが出た海図カードのスペースは、次のプレイヤーの手番開始時に左から右へカードを詰めて置き、山札から1枚補充します。


海図カードや契約カードの購入には追加のターリが必要な場合があります。一番左の位置に置かれたカードの購入時には追加で2ターリ必要で、逆に一番右の位置に置かれたカードの購入時には食糧を1個獲得できます。新しく出たカードほど獲得のコストが高く、古いカードは獲得するとボーナスがもらえるというわけ。


赤のプレイヤーは織物のターリを6個発生させ、契約カード「別荘」を購入しました。カードのコスト4ターリと追加の1ターリが消費され、余った1ターリが1食糧に変換されます。契約カードは購入時、中央に描かれたアイコンのボーナスを得ることができます。「別荘」の場合は1食糧を獲得。また、海図カードを購入した際と同様カードを右に詰め、山札から1枚補充します。


海図カードや契約カードの右上には勝利点が書かれています。基本的にこのゲーム中の勝利点は獲得するとすぐにトラックに反映しますが、海図カード・契約カードに書かれた勝利点などはゲーム終了時に計算します。勝利点はおおむね、点数の高低とコストの高低が比例しています。


ターリはメインアクション「人物カードを場に出す」でカードを出す際にも使用します。白のプレイヤーは「ボティッチェッリ」を場に出すため、小麦から3ターリ生み出しました。人物カードには場に出した手番内に1度だけ効果がある「即時系」、ゲーム中ずっと効果が続く「永続系」、1ラウンドに1回だけ発動させて効果を得られる「アクション系」、ゲーム終了時に追加勝利点が得られる「終了時系」があります。「ボティッチェッリ」は、「ワイン1個を得るたびに1食糧を得る」という永続系。


黒のプレイヤーが場に出した「レオナルド・ダ・ヴィンチ」はアクション系人物カードで、発動すると「ボード上の契約カードのうち1枚を選び、そのボーナスのみを得る」という効果があります。


黒のプレイヤーは次に回ってきた手番でメインアクション「アクション系人物カードの発動」を実行し、「東方三博士の礼拝」のボーナスを得ました。「東方三博士の礼拝」のボーナスは「場に置かれた人物カードを購入できるようになる」というもの。


人物カード「ピーコ・デッラ・ミランドラ」を購入し、手札に加えました。また、人物カードの位置ボーナスで1食糧も獲得します。メインボードに置いていると、ついつい人物カードの左上に描かれているのが購入コストであるように錯覚してしまうことがあるのですが、人物カードの入手は海図カードのアクションか契約カードのボーナス経由になるので、注意が必要。また、購入だけなら最大でも2食糧の支払いで入手できますが、場に出すにはターリが必要で、せっかく手札に加えても場に出せないという事態がしばしば発生します。


「アマルフィ」では資源を船コマで示しますが、アクションスペースへ配置したり、緊急調達で本国スペースに動かしたりした船コマは次のラウンドまで戻ってきません。そのため、船コマを増やす「造船」をどのタイミングで行うかも相当重要になってきます。「造船」は小麦か緊急調達で得たターリを消費します。消費数はラウンドごとに異なり、1ラウンド目は6ターリ、2ラウンド目は5ターリ、3・4ラウンド目は4ターリと減っていきます。なお、作った船コマが使えるのは次のラウンドからです。


船コマが資源スペースか海スペースにあるうちは何らかのアクションを取ることができますが、いよいよ何もすることがなくなった場合はメインアクション「パス」を行います。一度「パス」すると、以後、このラウンドのアクションフェイズでは手番が回ってこなくなります。すべてのプレイヤーが「パス」をするまでアクションフェイズは続きます。


アクションフェイズを終えると次は「食糧フェイズ」です。獲得した植民地1個につき食糧を1個獲得します。次に造船所を確認し、見えている数字のうちもっとも右側の値の分だけ食糧を失います。1隻も造船していない場合は2食糧で、以後、1隻造船するごとに消費量が1ずつ増えていき、最大の6隻造船時は8食糧を失うことになります。このフェイズは獲得→消費の順に処理を行い、食糧が不足した場合は、不足1つにつき勝利点を3失います。勝利点は0より減ることはありません。


最後は「決算・準備フェイズ」です。まずは最初に確認した決算カードの内容に基づき決算を行い、メインボードの勝利点トラック上の船コマを移動させます。一番上のカードを裏返し、次のラウンドは2番目の決算カードが決算の対象となります。


メインボードの一番右にある海図カードを、上の空いているスペースの一番下に移動させます。この海図カードは「追加アクションスペース」の扱いとなり、次のラウンドから船コマを配置できるようになります。スペースが空いたので、海図カードを右詰めして、左端に山札からカードを補充します。


契約カードは右側2枚を捨て札としてメインボードから取り除き、右詰め後、山札から2枚補充します。


各プレイヤーはアクションスペース、本国スペースにある自分の船コマをすべて回収し、海スペースへ移動させます。アクション系人物カードを使用して横向きにしていた場合は、縦向きに戻します。


これで1ラウンド目が終了。なお、この時点で本来はゲームプレイ時間目安である90分が経過しています。


2ラウンド目は慣れたこともあって、サクサクと手が進むように。そんな中、白のプレイヤーが「称号カード」の条件を達成しました。称号カード「人文哲学者」は「書籍」の契約カードを4枚集めたら勝利点を獲得できるというもの。白のプレイヤーは「すべての称号カードの達成の際、いずれかの条件を-1」してくれる人物カード「教皇アレクサンデル6世」を場に出していたため、書籍カード3枚で条件を達成しました。


称号カードの勝利点アイコンの一番左に船コマを置き、勝利点を15点獲得しました。次に達成したプレイヤーは獲得勝利点が10点、次は5点と、先に達成したプレイヤーの方が獲得できる勝利点が多くなっています。


手札はプレイヤーごとに異なるため、交易の内容だけではなく、どの人物カードを使うかによってプレイスタイルは大きく変化します。たとえば、黒のプレイヤーは人物カードを大量に場に出して、効果を複数重ねることで効率的に資源に得ようとするスタイル。


一方、赤のプレイヤーは「現状のスタイルでは手札が生きない」と、フリーアクション「人物カードを捨てて食糧を得る」で、どんどん人物カードを食糧に変えていました。


「このスペースだけでは世界が狭すぎる」と海図カードを買いあさる青のプレイヤー。青のプレイヤーは、資源を得られる可能性を広げると同時に、3ラウンド目の決算カード「海図の枚数×2勝利点」も狙っていました。


この行動の結果、海図カードは3ラウンド目途中で尽きることに。海図カードは山札が尽きたらそこまでで、補充されることはありません。


ラウンドを重ねると、どんどん行動できることの幅が広がっていきます。青のプレイヤーは海図買い占めに続いて、造船6隻と植民地獲得6回を達成し、「海の傭兵隊長」の称号を得ることにも成功しました。


4ラウンド目のアクションフェイズで全員が「パス」したら、食糧フェイズ、決算フェイズを経て、ゲームは終了。得点計算に入ります。


かなり進んでいるはずの勝利点トラックの値に、さらに植民地獲得数に応じた勝利点、獲得した海図カードと契約カードの勝利点、終了時系人物カードによる勝利点を加算して、最終的な勝利点を算出します。人物カードを出しまくった黒のプレイヤーは意外に伸び悩んで51点。一方、海図を買い占めた青のプレイヤーは156点で勝利を収めました。


◆4:まとめ
準備開始からゲーム終了までにかかった時間は約4時間で「重量級」のうたい文句に偽りなしという印象です。ただし、これはルールを読み込むところから進めたためで、全員がルールを把握していればもっとサクサクをプレイを進めることができます。1回のアクションフェイズに行えるメインアクションは1つだけなので、行動の選択肢が広すぎて思考時間がかかりすぎるということはなく、何もできずに手番が終わってしまうことも起こりにくいので、手番時のストレスはそんなにありません。また、5種類あるカードは内容が豊富なので、同じ形になることはほとんどなく、何度でも遊べるゲームです。カードが多数あるがゆえに、カード内容をある程度把握している経験者が有利という面はありますが、複数考えられるプレイスタイルの中で「これが必勝」というルートはなく、また挑戦したくなるゲームでした。

「アマルフィ」は公式の販売ページから購入可能で、価格は税込7600円です。

アマルフィ 日本語版第二版 | uchibacoya piece

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1p_kr

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