カラスは霊長類よりも早く大人並の認知能力を獲得するという可能性
ドイツにあるマックス・プランク鳥類学研究所の研究者が、カラスは生後わずか4カ月ですでに成鳥並の社会的スキルと認知スキルを持っており、チンパンジーやオランウータンなどの霊長類よりもずっと早い発達速度を見せているという研究結果を発表しました。
Ravens parallel great apes in physical and social cognitive skills | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-020-77060-8
Young Ravens Could Have Cognitive Skills That Rival Adult Great Apes, Research Finds
https://www.sciencealert.com/young-ravens-could-have-smarts-that-rival-cognitive-skills-of-adult-great-apes
ドイツのマックス・プランク鳥類学研究所の研究チームは、8羽のワタリガラスをタマゴからふ化させ、カラスの空間把握能力、因果関係や道具の使い方に関連する思考力、社会的能力、コミュニケーション能力などを調査しました。
調査した結果を、チンパンジーやオランウータンなどの霊長類で収集されたデータと比較したところ、ワタリガラスは生後4カ月で、生後4カ月という脳がまだ完全に成熟していない時期においてもすでに16カ月の成体と同等の社会的スキルや認知能力を獲得していることがわかったそうです。
カラスが幼いうちから成体と同じレベルの認知能力を獲得している理由について、研究チームは「カラスの社会生活は非常に競争が激しく、カラスの高い認知能力はライバルに打ち勝つ必要があるために形成されている可能性があります」と推測しています。
なお、科学系ニュースサイトのScience Alertはカラスだけではなくオウムやカササギも認知能力が高いことが過去の観察結果や研究から示されていると指摘しました。
研究チームは、8羽はサンプル数としては小さすぎるため、明確に結論づけることはできないとしながらも、カラスが人間と同じように社会的スキルを優先的に獲得し、認知能力を早期に発達させていることを示しているかもしれないとしています。
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