ベイルート港爆発事故は硝酸アンモニウムのずさんな保管をはじめ複数の過失にあったと研究機関が分析
2020年8月にレバノンのベイルートで発生した爆発事故について、すべての人々の平等を目指して活動するLegal Action Worldwideによる「遅れなく、独立した公平な事実調査団」を求める意見を支持するとして、研究機関フォレンジック・アーキテクチャが、事故調査の分析結果を公開しています。
The Beirut Port Explosion ← Forensic Architecture
https://forensic-architecture.org/investigation/beirut-port-explosion
models/65 at master · forensic-architecture/models · GitHub
https://github.com/forensic-architecture/models/tree/master/65
現地時間2020年8月4日、レバノンの首都ベイルート港で爆発事故が発生しました。原因となったのは、倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムであるとみられます。
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爆発による被害は死者200人以上、負傷者6500人以上。港には大きなクレーターが生まれました。
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フォレンジック・アーキテクチャは、スマートフォンなどで撮影された複数の映像を分析することで、爆発の起きた倉庫のバラバラの場所から、14分間で4つの別の煙が上がったことを特定しました。煙はそれぞれ独特の形状と色をしていて、倉庫内にどのような物品がどう配置されていたか、どう火災が発生したかを特定することにつながるとのこと。
爆発物専門家であるガレス・コレット氏によれば、硝酸アンモニウムは火だけで爆発させるのは難しい物質であるものの、異物が混じった状態で密閉環境に置かれた場合、壊滅的な爆発を引き起こす可能性が出てくるそうです。
今回、倉庫内部には硝酸アンモニウムのほかに23トンの花火や1000本のタイヤが保管されていたことがわかっています。これは、イギリスやオーストラリアの倉庫管理で求められる基準をまったく満たさないものだったとのこと。以下の図はフォレンジック・アーキテクチャが作成したもので、左がベイルート港の倉庫を、中央がイギリスでの保管基準を、右がオーストラリアでの保管基準を示しています。
もともと、倉庫にあった硝酸アンモニウムは2013年に貨物船から押収されたものだったとのことですが、以後7年にわたり、不適切な状態で放置されていたということで、同じ倉庫に花火やタイヤを保管していたことも含めて、「悲劇的な爆発は、国家による過失が何重にも重なったことを浮き彫りにしている」とフォレンジック・アーキテクチャは報告しています。
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