約4000万円でポケモンカードの初版シリーズ未開封品を箱買いしたところ開封済みや別シリーズの混じったニセモノであることが明らかに

ポケットモンスターを題材に1996年から販売が続けられている「ポケモンカードゲーム」には、1枚で650万円以上するカードなどがあり、近年高額で取引されています。また、人気ラッパーのLogicが18万3000ドル(約190万円)でリザードンのカードを落札するなど、著名人の中にもポケモンカードゲームのファンが多くいることが話題となっています。そんな人気のポケモンカードゲームの初期シリーズは特に人気が高く、初期シリーズに収録されていた103枚のカードが1100万円超で取引されたこともあるのですが、初期シリーズの未開封パックが入ったボックスを37万5000ドル(約3900万円)という高額で購入する人物まで登場しています。

How live-streamed $375k deal for Pokemon cards ended in disaster | Games | The Guardian
https://www.theguardian.com/games/2020/oct/28/how-live-streamed-375k-deal-for-pokemon-cards-ended-in-disaster

$375,000 box of Pokemon cards turns out to be fake - Polygon
https://www.polygon.com/2020/10/28/21538821/box-of-first-edition-pokemon-cards-fake-375000-dumb-money-logan-paul

ポケモンカードゲームの初期シリーズの未開封パックが入ったボックスをまとめ買いしたのは、YouTubeチャンネルのDumb Moneyのホストの1人であるクリス・カミッロさん。

カミッロさんにポケモンカードの初期シリーズの未開封パックを売ったのは、世界中で大炎上したYouTuberのローガン・ポールさんの「ポケモンカードコンサルタント」を名乗る暗号通貨投資家のCrypto Kingさんらのグループ。Kingさんらのグループがポケモンカードの初期シリーズの未開封パック36個が入っているボックスを匿名の第三者から購入し、これをカミッロさんに販売したそうです。

そんなこんなで未開封パックの詰め込まれたボックスを入手したDumb Moneyの面々が、期待に胸を膨らませながらパックを開封する様子を生配信しました。生配信のアーカイブは以下からチェックできます。

Opening The $375,000 1st Edition Pokemon Box (Official Live Stream) - YouTube


未開封ボックスなので、ビニールで覆われたままのものをカッターを使って丁寧に開封していきますが、箱が開けられると中から出てきたのは損傷したパックや既に開封された状態のパック、さらには初期シリーズとは異なるシリーズに収録されているはずのカードなど。そのため、現場では「あぁ、あれとあれは色が違う」「これは初期シリーズのパックじゃない」「これもう開いてるよ」などの困惑の声があがります。

The Guardianは生配信後にカミッロさんにインタビューしており、同氏は「まだショックを受けています」「私たちは細心の注意を払ったため、お金はまだ無事です」「このような取引はポケモンカードゲームの世界を揺るがすものです」などと語ったそうです。

Dumb MoneyおよびKingさんには「初めから示し合わせていた茶番劇だ！」などの批判が寄せられていますが、カミッロさんは「絶対にそのようなことはありません」と語り、実際に銀行へ行って37万5000ドルという大金を下ろし、ポケモンカードを購入する予定だったと主張しています。

Dumb Moneyにポケモンカードを仲介したKingさんも、自身のTwitterアカウントで「37万5000ドルの偽物のポケモンカードボックスをつかまされた」とツイートし、ボックスの売り手側に払い戻しを求めると語っています。また、Kingさんは自身がこのような詐欺を仕掛ける利点がないとして、「我々がニセモノであることがわかっているボックスを売れば、我々のビジネスに与える影響は非常に甚大なものとなるはずです」と語りました。

新型コロナウイルスのパンデミック以降、海外では特にポケモンカードゲームの取引が盛んになっており、ローガン・ポールやLogicといった著名人が高値でポケモンカードを購入したことが、さらに人気に火をつける事態となったとのこと。インターネットオークションサイトのeBayでは、2020年7月から10月までの期間に、ポケモンカードゲームを含むトレーディングカードゲームの販売数が前年同期比で123％も増加したそうです。

なお、カミッロさんは昔懐かしのポケモンカードを再びコレクションするためではなく、投資対象として優れたものであると判断して、ポケモンカードゲームの初期シリーズを購入したと説明しています。ただし、お金儲けのためだけに購入したわけではなく、1年後にオークションで再び販売し、チャリティーに寄付する予定だったそうです。

カミッロさんのように投資目的でポケモンカードゲームに目をつける人は少なくないそうで、コレクター向けにカードの品質を証明するための活動を行っているLudkins Collectiblesの代表であるBarney Ludkins氏によると、「最高品質のリザードンを5枚欲しい」といった電話が、ポケモンについて何も知らない人たちから頻繁にかかってくるそうです。