トランプ大統領や安倍元首相など世界の著名人240万人のデータを中国企業が収集していたと判明
中国・深圳市のデータ関連企業Shenzhen Zhenhua Data Technologyから漏えいした情報によって、同社が安倍元首相を含む世界の著名人240万人のデータを収集していると判明しました。これらのデータの大部分はソーシャルメディアなどで一般公開されていたものでしたが、一部には銀行の取引記録など違法な手段で収集されたデータが含まれていたと報じられています。
China's 'hybrid war': Beijing's mass surveillance of Australia and the world for secrets and scandal - ABC News
https://www.abc.net.au/news/2020-09-14/chinese-data-leak-linked-to-military-names-australians/12656668
Leaked database indicates Chinese intelligence has probed senior Australian politicians | Sky News Australia
https://www.skynews.com.au/details/_6190389492001
Chinese database details 2.4 million influential people, their kids, addresses, and how to press their buttons • The Register
https://www.theregister.com/2020/09/15/china_shenzhen_zhenhua_database/
Statement on Shenzhen Zhenua Data Leak - Balding's WorldBalding's World
https://www.baldingsworld.com/2020/09/14/statement-on-shenzhen-zhenua-data-leak/
Shenzhen Zhenhua Data Technologyから漏えいしたのは、アメリカやオーストラリア、日本などの欧米やアジアの政治家や軍人、外交官、学者、公務員、企業幹部、エンジニア、ジャーナリスト、弁護士、会計士などの著名人240万人分の個人情報を網羅したデータベースや、個人情報に加えて国家規模のインフラや軍事展開、世論分析などの情報です。オーストラリアのSky Newsによると、データベースの中にはトランプ大統領や安倍元首相、プーチン大統領の情報も含まれていたとのこと。
収集されていた個人情報は、TwitterやFacebook、LinkedIn、Instagram、TikTokなどの各種SNSで公開されていた情報やニュースで報じられていた情報などの公開情報が主でしたが、10~20%の情報は銀行の取引記録や履歴書などの非公開情報で、同社はいわゆる「ダークウェブ」から非公開情報を収集していたとみられています。
Shenzhen Zhenhua Data Technologyが収集していた情報を中国政府が使用していたという証拠は見つかっていません。しかし、同社のパートナー企業のリストには中国財務省傘下のHuarongや国営企業の子会社であるGlobal Tone Communication Technologyなどが並んでいる上に、流出した文書には同社が愛国的であり、中国人民解放軍が「ターゲット顧客」であるという記述があったことから、同社が収集したデータは中国政府に提供されたとみられています。
アメリカのニュースメディア大手のFoxNewsによると、同社は2018年後半から2020年4月にかけてニュースや情報収集、ソーシャルメディアプラットフォームにおける情報収集に関する特許を出願していただけでなく、「ソーシャルメディアは現実を操作し、国の行政力、社会力、軍事力、経済力を弱め、社会の二極化や過激化を生み出す恐れがある」と発表していたこともあるとのことで、SNS上における情報操作に関心を寄せていたとみられています。
Shenzhen Zhenhua Data Technologyの代表はイギリス大手紙のThe Guardianに対し、「この報告は事実ではありません。我々が行っているのはデータ収集などではなく、データ統合です。私たちのビジネスモデルとパートナーは企業秘密であり、200万人分のデータベースなんてものは存在しません」「当社は民間企業であり、中国政府や人民解放軍との関係はありません。顧客は研究機関や一般企業です」とコメントし、一連の報道を完全否定しました。
欧米のメディアは今回の一件が中国企業が国家企業と連携して個人や機関に対するグローバルな監視網を敷いている証拠だとして、中国への非難を強めています。
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