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中国が「再利用可能な宇宙船」の打ち上げ&着陸に成功か


宇宙開発に伴う多大なコストを削減する方法として、近年では「打ち上げに使用したロケットや帰還した機体の一部を回収して再利用する」という方法が注目を集めています。中国の国営通信社である新華社通信が2020年9月6日、「中国が打ち上げに成功した再利用可能な宇宙船が、軌道上を2日間飛行した後、9月6日に予定されていた地点に着陸した」と報じました。

我国可重复使用试验航天器成功着陆-新华网
http://www.xinhuanet.com/politics/2020-09/06/c_1126458421.htm


China Lands Mysterious Reusable Spacecraft After 2 Days in Space
https://www.sciencealert.com/china-lands-mysterious-reusable-spacecraft-after-two-days-in-space

再利用可能という点をコンセプトにした宇宙船としては、NASAが1981年から2011年にかけて運用したスペースシャトルが有名です。また、近年ではSpaceXの商業用打ち上げロケットであるファルコン9や、Blue Originの有人宇宙船であるニューシェパードが再利用可能として知られています。

中国の国営通信社が報じたところによると、2020年9月4日に「Chongfu Shiyong Shiyan Hangtian Qi (CSSHQ/重复使用试验航天器)」と呼ばれる宇宙船が、酒泉衛星発射センターから長征2号Fと呼ばれるローンチ・ヴィークル(打ち上げ機)を使って打ち上げられました。CSSHQは2日間軌道上を飛行した後、9月6日に予定されていた着陸地点に帰還したとのこと。

CSSHQを打ち上げるために使用された長征2号Fは、中国の有人宇宙船である神舟各機の打ち上げにも使用された再利用できないローンチ・ヴィークルであり、1999年から14ものミッションに携わってきました。

by Gary Todd

CSSHQは中国初の「再利用可能な宇宙船」だとされており、これは中国にとってかなりの偉業であるとScienceAlertは指摘。これまでに再利用可能なロケットや宇宙船の開発に成功しているのは、ほんの一握りの機関や企業のみであり、そのほとんどがアメリカに本拠を置いています。

1回のロケット打ち上げには数千万ドル(数十億円)のコストがかかる可能性があるため、機体の一部を再利用可能なシステムを作ることは、国や企業の打ち上げコスト削減につながると考えられています。しかし、「再利用可能なシステムが必ずしもコスト削減につながるわけではない」という点には留意する必要があるとScienceAlertは述べています。たとえば、NASAが開発したスペースシャトルは部分的に再利用可能な宇宙船だったものの、打ち上げプロセス全体では使い捨ての打ち上げプロセスよりもコストが高くなってしまったとのこと。


残念ながら、記事作成時点ではCSSHQに関する詳細な情報は不明であり、着陸の様子を報じたメディアはありません。中国の国営TV局である中国中央電視台(CCTV)もCSSHQの打ち上げおよび着陸成功について報じていますが、ニュースの中で打ち上げの様子やCSSHQの姿が映ることはありませんでした。

中国可重复使用试验航天器成功着陆 |《中国新闻》CCTV中文国际 - YouTube


新華社通信は報道の中で、「今回のフライトの完全な成功は、再利用可能な宇宙船研究に関する中国の技術研究に重要な突破口を示しており、宇宙の平和的利用のために便利で低コストな往復輸送を提供することが期待されています」とコメントしました。

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by log1h_ik

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