YouTuberは広告収入ではなく「月額課金サービスとグッズ通販」で収益を得る方向に移行している
YouTubeでは動画を再生すると広告が表示されるため、その再生回数に応じて収益が発生します。しかし、YouTubeでは広告収益化のハードルが高くなっており、再生回数を収益に変える効率もかなり悪くなっています。一方で、月額課金のチャンネルメンバーシップやオリジナルグッズ展開など、YouTuberはもはや広告収入に依存しない収益を確保するようになっていると報じられています。
YouTube Influencers Charge For Subscriptions After Coronavirus Hits Ads - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-03/youtube-influencers-charge-for-subscriptions-after-coronavirus-hits-ads
YouTubeで活躍するほとんどのクリエイターにとって、広告は主な収益となっていますが、2020年4月にはおよそ8万ほどのチャンネルが広告収益以外の方法で収益を上げているそうです。
YouTubeのチーフプロダクトオフィサーであるニール・モハン氏によれば、2020年1月から5月までの間に、収益の大部分を広告ではなくサブスクリプションに依存するようになったYouTuberの数は40%増加したとのこと。モハン氏は「クリエイターにとって、ポートフォリオを多様化することは重要です」と語っています。
YouTubeの広告は決してどんなムービーにでも付くわけではなく、広告主のブランドイメージを保護するため、YouTuberの発言や配信内容が差別的だった場合、広告が停止されることもあります。そのため、一部のYouTuberはInstagramやTikTokなど、別のプラットフォームに移ってしまうこともありました。
一方、Amazonが所有するゲーム実況配信プラットフォームであるTwitchでは、ファンが好きなパーソナリティに「投げ銭」として直接お金を寄付する文化が根付き、広告収入に依存しないクリエイティブコミュニティが確立しました。
これを受けて、YouTubeではライブ配信をするYouTuberへお金を寄付できる「スーパーチャット」機能が2017年に登場。さらにYouTuberが月額有料のサブスクリプションサービスを提供できる「チャンネルメンバーシップ」機能が2018年にスタートしています。メンバーシップはメンバー限定でムービーに限定されないさまざまなコンテンツを提供できる点が魅力の1つです。
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日本でも、チャンネルメンバーシップを導入するYouTuberは増えています。たとえば、登録者数400万人超えの人気YouTuberである水溜りボンドは2019年1月から月額490円のチャンネルメンバーシップをスタート。1年間やってみた上で「赤字だった」と語る一方で、チャンネル登録者のための限定コンテンツを用意するためにこれまでやらなかったようなことに挑戦でき、得られるものは多かったため、今後もチャンネルメンバーシップを継続していくと明らかにしています。
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さらに、eコマース事業と連携させることで収益化を図る方法を取るYouTuberも登場しています。これは、YouTubeで公式に提供されているグッズ販売機能を使うことで、YouTuberのオリジナルグッズの販売が可能になるというもの。プロのマラソンランナーでありYouTuberであるSeth James DeMoor氏は、オリジナルブランドのTシャツとパーカーを販売しており、月額約2000ドル(約21万円)を売り上げているとのこと。また、ランニングシューズをムービーでレビューすると同時に購入窓口をムービーの中に用意することで、マージンを得ているそうです。
モハン氏は、YouTubeの成長ストーリーの次の段階として月額課金とeコマース連携をアピールしており、「クリエイターが直面している不確実性や課題を踏まえて、これらの製品が果たしてきた役割を見ることができてよかったと思います」と述べました。
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