新型コロナウイルス拡大防止対策の影響か、インフルエンザなどの症例が激減
WHOによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック認定から約5カ月が経過してもなお、COVID-19の感染者数増加が落ち着く気配は見られません。一方で、世界的にCOVID-19の拡大を防ぐためにさまざまな施策が採られてきたおかげか、他の感染症の症例が激減していることが報告されています。
As COVID-19 rages around the globe, other infectious diseases shrink away | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/07/flu-and-other-infectious-diseases-numbers-are-down-as-covid-19-rages/
新型コロナウイルス対策として採られてきた「ソーシャルディスタンス」戦略は、早いうちから他の感染症の抑制にも役立っていることが示されています。
オーストラリアでは、早いうちからインフルエンザの症例が例年より少ないことが報告されていました。オーストラリアのインフルエンザのピークは6月~8月ですが、北半球からの旅行客による「持ち込み」により、例年、1月にも増加する傾向があるのだそうです。
Australia sees huge decrease in flu cases due to coronavirus measures | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2242113-australia-sees-huge-decrease-in-flu-cases-due-to-coronavirus-measures/
例に漏れず、2020年1月もインフルエンザ感染の報告数は6962件と高い状態から始まり、2月は7161件とさらに増加しましたが、3月は5884件に減少。そして4月は229件にまで激減したとのこと。前年同期が1万8705件なので、その減少幅がどれだけ大きいかがうかがえます。
感染数が激減したのは、オーストラリアが2020年3月20日に国境閉鎖したことの影響が大きいと考えられています。また、国境閉鎖と前後して、3月16日に多人数(500人以上)での不要不急の集会が禁止となり、3月23日にパブ、レストラン、ジム、映画館の閉鎖などが決まりました。また、例年、児童がインフルエンザ拡散の原因となっていることから、3月中旬から学校の授業のリモート化が進み、登校する子どもが減ったのも感染数減少の一因であるとみられます。
オーストラリアの隣国・ニュージーランドは、2020年6月に新型コロナウイルスへの「勝利宣言」を出しました。その後、再び新規感染者は発生していますが、2020年7月のニュージーランドにおけるインフルエンザ報告数は人口の0.7%で、例年の3~4%に比べて低い数字で推移しています。
同様に、南米・アルゼンチンでも2020年1月~7月のインフルエンザの報告数は例年の64%だとのこと。
COVID-19が最初に報告された中国ではインフルエンザ以外に、麻疹(はしか)の感染数が70%減、おたふくかぜの感染数が90%減となっているそうです。
Seasonal flu reports hit record lows amid global social distancing - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-influenza/seasonal-flu-reports-hit-record-lows-amid-global-social-distancing-idUSKCN24W0F8
いずれも、オーストラリアの例と同様に、ソーシャルディスタンスをはじめとしたCOVID-19対策が他の感染症に対しても功を奏したものではないかと考えられています。
なお、Ars Technicaによると、COVID-19の感染者数が世界第2位で、対策に手を焼いているブラジルでも、インフルエンザの感染者数は例年より40%少ないとのことです。
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