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謎の小児肝炎が世界的に拡散中、日本でも初症例


感染者の約10%が肝移植を必要とする状況に陥るという謎の小児肝炎が世界的に広がりを見せています。2022年4月25日付けの発表では、この小児肝炎が疑われる症例が日本国内でも確認されたことが明らかになっています。

Multi-Country – Acute, severe hepatitis of unknown origin in children
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON376

Almost 200 cases of unexplained acute hepatitis reported in children -ECDC | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/around-190-cases-acute-hepatitis-children-reported-ecdc-2022-04-26/

Severe hepatitis of 'unknown origin' in children being investigated in Canada | CBC News
https://www.cbc.ca/news/health/liver-disease-mystery-1.6431872

2022年4月23日、世界保健機関(WHO)が「小児における原因不明の急性重症肝炎が11カ国に拡散している」と発表しました。WHOによると、この謎の小児肝炎はイギリスと北アイルランドにおいて4月15日に確認されて以降、国境を越えて拡散しているとのこと。感染者が初めて確認された4月15日から6日後の4月21日時点で、ヨーロッパと北米で計169人の感染者が確認されています。

感染者169人の内訳を詳しく見ると、初感染が確認されたイギリスが114人と圧倒的。2位以下は、スペイン(13人)、イスラエル(12人)、アメリカ(9人)、デンマーク(6人)、アイルランド(5人)、オランダ(4人)、イタリア(4人)、ノルウェー(2人)、フランス(2人)、ルーマニア(1人)、ベルギー(1人)と続きます。年齢については、生後1カ月から16歳までの範囲で、ほとんどが10歳未満とのこと。


4月23日のWHOの発表以降、世界的な流行状況を正確にまとめた続報については存在しませんが、4月26日付けでEU内の伝染病予防を総括するEU疾病予防管理センターが「感染者数は約190人」と報告。日本の厚生労働省も2022年4月25日に「国内でも可能性のある症例が発生した」と発表しています。

原因不明小児肝炎、国内疑い例 海外で相次ぎ報告―厚労省:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042501132


症状については、診断的には肝酵素値の急上昇を伴う急性肝炎で、感染者の大部分において腹痛・下痢・嘔吐などの消化器系症状が確認されています。重症度については、感染者169人のうち17人(約10%)が肝移植を要するほどの状況で、うち1人が死亡しています。

この種の急性肝炎を引き起こす原因の中でも一般的な「肝炎ウイルス」はA型からE型までいずれも検出されなかった一方、74人(約44%)の感染者から「アデノウイルス」が検出されていることから、何らかの形でアデノウイルスが関係しているという可能性が示唆されている状況。検出されたアデノウイルスの中でも「F41」と呼ばれるタイプが18人から検出されていますが、感染者20人から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が、感染者19人から「アデノウイルスと新型コロナウイルス」の2種が同時に検出されているため、「直近で新型コロナウイルスに感染した子どもがアデノウイルスに感染すると問題の小児肝炎が発症するのでは」といった可能性が検討されています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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