Twitterと関係が深いAI企業が「反人種差別の抗議活動を監視し警察に情報提供していた」と報じられる

by Geoff Livingston

黒人男性のジョージ・フロイド氏が警察官により殺害された事件を機に、黒人差別の撤廃を訴える「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」運動が急速に広がっています。そんな抗議運動の模様を、Twitterと提携関係にある新興AI企業Dataminrが監視し、警察に情報提供していたと報じられました。

Dataminr Helped Police Use Tweets To Surveil BLM Protests
https://theintercept.com/2020/07/09/twitter-dataminr-police-spy-surveillance-black-lives-matter-protests/

Dataminrは、AIと機械学習を使用して収集・分析した情報をリアルタイムに提供するサービスを行っているアメリカの企業です。世界70カ国に数百社のクライアントを抱えているほか、特にTwitterとはオフィシャルパートナーとして綿密に提携しており、TwitterはDataminrにユーザーの投稿への完全なアクセス権を独占的に与えているとされています。

インターネットメディアのThe Interceptは2020年7月10日に、「我々は、Dataminrが警察による抗議デモ参加者のデジタル的な監視を支援し、参加者らの最新の居場所や行動を警察に提供していたことを示す文書を入手しました」と報じました。

The Interceptが入手したDataminrの内部文書によると、Dataminrは同社のスタッフに対し「警察による抗議者への武力行使、またはその逆」「物的損害」「政府機関や商業インフラを対象とした放火や略奪」「人種的な偏見に基づくと解釈される可能性がある、警察官が関与した射殺事件もしくは殺害事件」「暴力的な抗議活動がアメリカの主要都市に広がった事例」についての情報を収集するよう指示していたほか、スタッフらは特にSNSで「フロイド氏の死に関与した警察官」についての投稿がないか監視していたとのことです。

by David Geitgey Sierralupe

Dataminrは、SNSの監視などから得られた情報を「First Alert」というサービスを通じて政府機関に提供していました。また、リアルタイムで進行中の事例だけでなく、今後の実施が計画されている集会の情報なども収集し、集会が行われる場所や日時の予想も立てていたとのこと。

Twitterの広報担当者であるLindsay McCallum氏はThe Interceptの取材に対し、「Twitterが公開しているデータは、ニュースアラート、事故現場に駆けつけるファーストレスポンダー(緊急対応要員)の支援、災害救助など、社会的に有用な用途に供されていると考えています。また、Dataminrの『First Alert』は監視を禁止している当社のポリシーに抵触していません」と答えました。

また、Dataminrの広報担当者であるKerry McGee氏は、「我々は『First Alert』のユーザーに対し、いかなる種類の監視に使用することも許可していません」と話しました。The InterceptがMcGee氏に、Dataminrからミネアポリス警察に提供されたという「抗議者グループの位置が正確に分かるツイートのスクリーンショット」を示したところ、McGee氏は「これは抗議活動ではなく、封鎖された交差点を含む交通問題として警察に提供されたものです」と説明したとのことです。

by Blink O'fanaye

Dataminrの活動に詳しい情報提供者はThe Interceptに対し、「DataminrやTwitterが過去に公表した『監視を容認していない』という主張は、監視の定義を意図的に狭めたデタラメです。Dataminrが抗議者や活動家を個別に追跡していないのは事実ですが、警察の要請で抗議活動を追跡しているので、抗議者を追跡しているも同然です」と話しました。