テスラ「モデルS ロングレンジプラス」が航続距離400マイルの壁を突破
テスラが「モデルS」の長距離走行タイプ「モデルS ロングレンジプラス」を改良して、市販電気自動車として初となる航続距離400マイル(約644km)を公式に達成したと発表しました。
Model S Long Range Plus: Building the First 400-Mile Electric Vehicle | Tesla
https://www.tesla.com/blog/model-s-long-range-plus-building-first-400-mile-electric-vehicle
Tesla upgrades Model S with 402-mile range - Electrek
https://electrek.co/2020/06/15/tesla-upgrades-model-s-402-mile-range-wheels/
Tesla Model S is the first production EV with over 400 miles of range - Roadshow
https://www.cnet.com/roadshow/news/tesla-model-s-long-range-plus-402-mile-range/
テスラは最高性能の電気自動車を提供するために、「航続距離」を重視しているメーカーです。テスラは「航続距離400マイル」という壁を破るために長年にわたって取り組んできました。
2020年1月に発表された「モデルS ロングレンジプラス」は、2019年末頃にイーロン・マスクCEOが「モデルSの航続距離が400マイルになるまでには、それほど時間はかからないでしょう」と述べていたことから、「航続距離400マイルの壁を突破したのでは」といわれていましたが、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の計測では「391マイル」という結果が出てしまい、期待を裏切る結果となりました。
この結果について、マスクCEOは「EPAの検査ではドアを開いたまま車内にキーを残していたため、車の電源が入ったままとなってしまい、バッテリーが2%も失われた」と言及。このEPAのミスがなければ航続距離400マイルを公式に達成できたと主張していました。
そして2020年6月15日、テスラは「モデルS ロングレンジプラス」を改良して、航続距離400マイルを公式に達成したと発表しました。新たな「モデルS ロングレンジプラス」は、EPA基準で航続距離402マイルとなっています。
テスラは、モデルS ロングレンジプラスが航続距離400マイルの壁を突破した要因について、以下のように解説しています。
◆大幅な重量削減
モデル3とモデルYの設計と製造からいくつかのフィードバックがモデルSとモデルXに反映されました。これによって、車両のプレミアムな感触とパフォーマンスを維持したまま、新たな質量削減の領域が開かれました。さらに、シート製造の標準化とバッテリーパック・ドライブユニットに軽量素材を採用したことにより、さらなる軽量化を実現しました。
◆「テンペスト」エアロホイールとタイヤ
最新の8.5インチ幅エアロホイールは、従来のモデルSロングレンジのホイールに比べて空気抵抗の低減を実現。さらに転がり抵抗を軽減するために特別に設計されたカスタムタイヤを組み合わせることで、航続距離を2%改善することに成功しました。
◆ドライブユニットの効率化
車体前部に搭載されたドライブユニットにおいて、機械式オイルポンプを電導オイルポンプを交換し、車体速度に依存しない最適な潤滑を実現し、摩擦を減少させました。モデル3・モデルYと共通のリア駆動ユニットの永久磁石式同期モーターを改善し、高速道路走行時の航続距離をさらに2%伸ばすことに成功しました。
◆回生ブレーキの最大化
テスラの最新ドライブ機能「HOLD」は、モーターの回生ブレーキと物理ブレーキを組み合わせて車体をスムーズに停止させることができます。このスムーズな停車を実現するために、回生ブレーキをより遅い速度で実行可能にし、さらに減速力を向上させました。
テスラは「それぞれの改善は比較的小さいものですが、これらをアクティブな製造ラインに組み合わせて導入することによって、効率性、航続距離、および全体的な価値を大幅に向上させることに成功しています」と記しています。
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