「完璧なお昼寝時間は36分」だという主張の理由とは?
昼寝は注意力や生産力を上げるといわれていますが、実際のところ、どのくらいの昼寝が最適であるかという科学的合意はまだ取れていない状態です。そんな中、ブログ「48dots」のライターは「36分」という昼寝時間を提案しており、なぜ36分の昼寝が最適なのかを説明するとともに、「36分という結論に至ったプロセスは昼寝だけでなく、人生にも適用できる」として意見をつづっています。
The perfect nap is 36 minutes long | 48dots
http://48dots.com/time+management/2020/05/10/the-perfect-nap-is-36-minutes.html
昼寝は注意力を高めるだけでなく、反応時間や論理的な推論、記憶力、感情制御といったさまざまなパフォーマンスを改善するといわれており、「人は昼寝をすべき」という意見は科学界からも多く聞かれます。昼寝は基本的に「いつ行うか」「どのくらい行うか」という要素から成り立っており、タイミングや量を間違えると、夜に眠れなくなり、睡眠サイクルを乱してしまうという側面も。最適な昼寝の量について研究者の合意は取れておらず、「最高の昼寝は10分」とするものや、「35分」だとする説、「20分以上の昼寝はやめるべき」とする見解など、意見が分かれます。
そんな中、48dotsのライターは「科学や研究、脳スキャンなどに基づいていませんが」と前置きしつつ、自分で行った実験から「36分」という数字を出しています。この理由はまず、36分という「長すぎず、短すぎない」時間は、時間に余裕がある時でもない時でも確保しやすいということ。また、「10分」など短すぎる設定時間では「早く寝ないと」と気持ちがあせり、逆に寝られない事態になることが考えられますが、36分であればすぐに眠りに落ちる必要がないので、本のページをめくりつつまどろむ余裕があります。さらに、意識が完全になくなる前に起床のタイミングがやってくるため、アラームに無理やり起こされる前に、鳥のさえずりや風のざわめきなどでゆっくり起床することになるとライターは指摘しており、「目覚めの良さ」も36分という時間の根拠となっているようです。
このように、「目的の達成だけを求めるのではなく、そこに行きつくまでのプロセス、達成した後のプロセスに目を向ける」ということは、昼寝以外の物事についても適用できるとのこと。
たとえば、現代人の多くが「生産性信仰」のもとで生きており、朝早くに起床し、タスクを1つ1つこなし、エナジードリンクを飲んで目を覚まし、夜遅くまで仕事する……という日常が「成功する秘訣」として信じられています。しかし、1分1秒と時間に追われながらやるべきことをこなす日々は、人から「人間性」を容易に奪います。人生が「巨大なタスクリスト」になっていると、人はリストをできるだけ速くこなすことだけに注意を向けがちですが、そのような生活の場合、人はタスクリストの奴隷となり、「自分は人生をコントロールしていない」という気持ちになりやすいとのこと。
しかし、どんなに迅速に作業をこなしても、タスクリストが空になることはありません。ギリシャ神話で神々から「山頂まで巨大な岩を運ぶと、岩がその重みで底まで落ちる」という罰を下されたシーシュポスのように、タスクは完了するとすぐに追加されます。タスクを終えるとわずかな時間だけ達成感が得られますが、やるべきタスクの山を目にすると、その達成感もすぐに消えてしまいます。
この問題を解決するには、「タスクを片付けること」ではなく、「タスクを味わうこと」に焦点を当てることが重要とのこと。48dotsのライターは「子どもの頃、『毎日30分』と課されたピアノの練習が嫌いだったために、練習の質が低くなり、うまくなることができずに結局やめてしまった。しかし、大人になって義務ではなく『遊び』としてピアノを弾くようになって技術が向上した」という例を挙げています。
「やっていることに自然と没頭し、楽しむための時間を自分に与えることと、達成を振り返ることが、満足感を上げるだけでなく仕事の質を上げることにもなります」として、36分の昼寝と同様に、「やるべきことをこなす」のではなく、「やっていることを味わう」ことの大切さを述べました。
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