サイエンス

昼寝は心臓発作や脳卒中などのリスクを低減することが研究で明らかに

by Pim Chu

2019年8月に科学誌のHeartで公表された最新の論文が、週に1、2回の昼寝を行っているとスイスの成人は、昼寝をしていない人たちよりも心臓発作や脳卒中といった心血管疾患にかかる危険性が低いことを発表しています。

Association of napping with incident cardiovascular events in a prospective cohort study | Heart
https://heart.bmj.com/content/early/2019/08/16/heartjnl-2019-314999

Naps May Be Good for Your Heart, a New Study Says | Time
https://time.com/5672111/naps-heart-health-study/

研究では35~75歳のスイスの成人約7500人を被験者として、それぞれの昼寝週間や夜間の睡眠時間、生活習慣などに関する情報を提供してもらい、健康状態を正確に評価するために複数の医学的検査を受けてもらったそうです。調査によると、被験者の半数以上が昼寝をしていないと答えており、昼寝をしていると答えた被験者は合計1448人でした。被験者のうち、667人は週に1~2回、411人は3~5回、370人は6~7回の昼寝を行っていると回答しています。

研究では最長8年間の追跡調査が行われており、被験者のうち155人が心臓病を患っていたとのこと。研究者によると、週に1~2回の昼寝をしている被験者は、日中に感じる過度の眠気や夜間の睡眠時間、その他の人口統計を加味した上でも、昼寝をしていない被験者たちよりも心血管疾患を患う危険性が低いことが明らかになっています。ただし、1~2回よりも多く週に昼寝をしている被験者については、心臓病のリスクが有意に低いという結果は得られなかったとのこと。

by Hernan Sanchez

週に1~2回程度の昼寝は、「ストレスを和らげ、夜間の睡眠不足を補うための貴重な方法であり、心臓を健康に保つための優れた手段になりうる」と研究グループは記しています。実際、アメリカ疾病管理予防センターは、睡眠不足が肥満・糖尿病・高血圧・脳卒中・心臓病・精神的苦痛などの危険因子であると警告しており、そういった健康上のリスクを低減するために昼寝は有効な手段である可能性が高いです。なお、アメリカでは全人口の約3分の1が1日あたり最低7時間の睡眠時間を確保できていないとのこと。そういった層が週に1~2回の昼寝をとることは、健康面で非常に大きな効果を得ることに繋がる可能性があります。

ただし、研究では65歳以上の成人に対しては例外が存在することも発見されています。65歳以上となるとそれ以外の年齢層よりも健康上の問題を抱えているケースが多く、また、より長時間の昼寝をとりがちな傾向が見られたそうです。そのため、65歳以上の被験者の場合は昼寝をすることで得られるはずの心臓病のリスク軽減などの効果がみられないケースもあったそうです。なお、最新の研究では昼寝時間と心臓の健康状態に関する強い関連性は見出すことができなかったそうですが、過去の研究ではあまりに長い昼寝をとると、心血管に悪影響をおよぼすという結果も出ています。

by Gabriel Matula

今回の研究結果はすべて被験者による自己申告がベースとなっており、研究サンプルとなった被験者に心臓病患者が少なかったという点についても留意が必要です。それでも研究結果が「昼寝が健康的な習慣である」という考えを裏付けるものであることは明らかであるとTimeは記しています。

あまり長い昼寝をとることは過去の研究結果からも推奨されていませんが、多くの睡眠の専門家は「20分程度の昼寝」を推奨しており、これにより注意力やパフォーマンス、気分に十分な好影響が見込めるとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「睡眠不足より寝過ぎの方が心臓発作の発症リスクが高い」という研究結果 - GIGAZINE

睡眠時間のバラツキが血糖値に悪影響をおよぼし深刻な健康問題を引き起こす可能性 - GIGAZINE

昼寝をすると血圧が下がり心臓病のリスクが減る - GIGAZINE

「寝だめ」の効果はごく一時的なもの、20分昼寝したほうがまだ効果的との専門家の意見 - GIGAZINE

足りない睡眠時間を埋めるにはどうしたらいいのか? - GIGAZINE

人間は昼寝をするべきなのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.