プレイヤーの知略とメカの能力を駆使して巨大生物の猛攻から耐え忍ぶターン制ストラテジーゲーム「Into the Breach」プレイレビュー
「Into the Breach」は、優れたゲームクリエイターとコンピュータゲームに与えられるゲーム・デベロッパーズ・チョイス・アワードの2019年度のベストデザイン賞に輝いたターン制ストラテジーゲームです。ローグライク系ゲームの傑作として知られる「Faster Than Light」を制作したインディーズのゲーム開発スタジオSubset Gamesが手がけた本作は、「敵の攻撃を予知して妨害する」という、シンプルながらも奥深いシステムがキモということなので、どんなゲームなのか実際にプレイしてみました。
Subset Games | Into the Breach
https://subsetgames.com/itb.html
「Into the Breach」の1ステージの流れはこんな感じ。1ステージ5分かからずにサクサクプレイできます。
「Into the Breach」の1ステージの流れはこんな感じ - YouTube
ゲームの初回起動時にはプロフィールを作成する必要があるので、「Create New Profile」をクリック。
名前を入力して、「CREATE」を選択するとプロフィールの作成が完了。
「Into the Breach」は日本語に対応したゲームです。しかし、PC版では初期設定が英語なので、言語を日本語に設定するところから始めます。「Options」を選んで……
「Select Language」をクリック。
選択肢の中から「日本語」を選ぶと日本語化完了。
タイトル画面の「New Game」を選ぶと、ゲームの設定からスタートします。「Into the Breach」の舞台は未来の世界。大まかなストーリーは、タイムトラベラーが巨大戦闘メカに搭乗し、襲い来る巨大生物「VEK」から世界を守るというもの。まずはタイムトラベラーやメカ、そしてゲーム自体の難易度などを選択してきます。
メカは近接攻撃や遠距離攻撃、範囲長距離攻撃など多種多様な初期能力に加えて、ゲーム中にレベルアップすることでさまざまな兵装を追加していくことが可能。そしてタイムトラベラーはメカに搭乗することで特殊な能力を発揮します。ゲームを繰り返しプレイすることで使用可能なタイムトラベラーおよびメカの種類を増やすことも可能です。
初期設定が終わればゲームスタート。「Into the Breach」はステージを1つずつ攻略していく形でゲームを進めていくため、開始時はまず「アイランド」と呼ばれるワールドを選びます。
各ワールドはステージごとに区分けされており、一度攻略を始めるとワールド間の移動は不可。
緑のステージは攻略済みのステージで、赤くなっているのがプレイ可能なステージです。各ステージは難易度や初期条件、ボーナス目標などが表記されています。
マンションなどの住居や発電所・人工衛星ロケットなどの各種施設を巨大生物VEKから守るというのが「Into the Breach」の目標。ゲーム的にはターン制シミュレーターですが、敵の移動と攻撃の「間」に自軍の移動と攻撃が可能という特殊なシステムです。
まずは自軍の初期配置から。ドロップゾーンタイルという黄色いタイルをクリックして、それぞれのメカを配置します。
敵側のターンではVEKがそれぞれに移動して……
自ユニットや建造物に攻撃を仕掛けてきます。ただし、表示されているのは各VEKの「攻撃予定」。赤枠部分にいる敵のファイヤフライは、次のターンに人工衛星ロケットに攻撃するようです。このままでは人工衛星ロケットが破壊されてしまうので、「敵の攻撃ターンが来るまでに敵の攻撃を阻止する」というのがこのゲームのポイントです。
それぞれのメカはHP・移動力に違いがあり、「近接攻撃」「砲撃」など異なる攻撃方法を備えています。各メカをクリックすると、頭上に緑色のHPバーと移動可能なタイルが緑色で表示されます。ミサイルメカの初期HPは2、移動可能距離は3マスです。
メカを選択したまま左下の攻撃ボタンをクリックすると攻撃モードへ。そのメカの攻撃可能なタイルがオレンジ色で表示されます。ミサイルメカは長距離砲撃が可能ですが、直線上のタイルしか対象に指定できず、自分の隣接するタイルは攻撃できません。
右側のファイヤフライを狙って砲撃してみることに。攻撃時はタイルにカーソルを合わせると「そのタイルに攻撃したらどういう結果になるのか」というのがあらかじめ表示されるため、実行する前に戦略を立てることができます。
砲撃だけでは倒しきれなかったので、今度はコンバットメカのアタックで追撃。とどめを刺しました。
しかし、右側のファイヤフライに集中攻撃した結果、左側赤枠部分のファイヤフライは無傷のまま残されてしまいました。このファイヤフライは、人工衛星ロケットを攻撃しようとしていた敵です。
こちらのターンを終えると、相手の攻撃ターンが始まります。残されたファイヤフライは当初の予定のまま、攻撃を実行。
しかし、こちらのターンでコンバットメカを人工衛星ロケットの手前に配置していたため、ファイヤフライの攻撃はコンバットメカにヒットしました。このように、こちらが何をしてもVEKは予定と同じ攻撃を行います。そのため、「攻撃を妨害する」ことが可能です。
攻撃する前に全てのVEKを倒し切れればベストですが、毎ターン全てのVEKを倒しきることは困難です。そのため重要になってくるのが、敵を「突き飛ばす」という要素。特定の攻撃では着弾時に敵を移動させることができます。今回は2体のVEKを突き飛ばして……
以下のような配置に。
VEKは突き飛ばされても攻撃するのをやめたり、攻撃の方向を変えたりしてきません。そのため、うまく突き飛ばすことで攻撃を空振りさせたり、誤爆させたりすることが可能。今回は敵の攻撃予定地にファイヤフライを突き飛ばして、同士討ちさせることに成功。電力インフラを傷つけられるとリカバリが困難なため、敵の攻撃予定をよく見て、敵を突き飛ばして攻撃が当たらないようにすると、ゲームを上手く進めることができます。
「Into the Breach」で敵を突き飛ばして同士討ちさせる様子 - YouTube
VEKを山などのオブジェクトに突き飛ばしてダメージを与えたり、水地や溶岩などに突き飛ばして転落死させたりも可能。
なお、施設が攻撃されてしまうと倒壊して住人は死に、「電力インフラ」がダメージを受けてしまいます。この電力インフラはいわゆるHPで、全部なくなるとゲームオーバー。電力インフラは回復させる機会が少ないため、なるべく施設に敵の攻撃を受けるのは避けたいところ。
また、地面からボコボコと何かが出てきそうなタイルは、次のターンにVEKが湧いてくる予定地です。
この予定地にユニットをのせておくと、VEKの湧きを防ぐことが可能。実際に2つ隣接している湧きタイルの右側だけにメカをのせておくと……
左側からの湧きタイルからはVEKが出現しますが、右側はメカがのっているためにVEKは出現しません。ただし、VEKが湧くのを防ぐと、タイル上のメカのHPが1減ります。
なお、敵を湧かないようにする行為はタイムトラベラーには不評らしく、「VEKの出現場所を尻でふさぐためにプログラムされたわけではないのだが?」などと言われてしまいます。
というわけで、1つのステージをプレイすると冒頭のムービーのようになります。
「Into the Breach」の1ステージの流れはこんな感じ - YouTube
電力インフラをゼロにされずに一定ターン経過すればステージクリア。ボーナス目標などの達成度に応じて「評価ポイント」がもらえます。
ワールド終了時には評価ポイントを使って、兵装や特殊能力などを買うことができます。
兵装や特殊能力はステージ選択時にメカに装備させることが可能。敵からの経験値によるレベルアップや兵装の追加によって、メカを強化することができます。
「Into the Breach」は、とにかく「敵の猛攻をしのぎきる」というゲーム。殺しきれないほどの敵が毎ターン毎ターン地面から湧いてきて攻撃を仕掛けてくるのを、「敵の攻撃予定」「突き飛ばし」などのシステムを使って被害を未然に防ぐのがキモ。うまく突き飛ばしてダメージを与えた上に敵の攻撃を回避するといった、考え抜いた一手で戦況を逆転すると、言葉にできないほどの爽快感を味わえます。
その爽快感を生み出しているのが、ゲームバランス。「ギリギリ持ちこたえられる」といったラインが常に保たれており、「一手間違えれば死ぬところを自分の知略で切り抜ける」という醍醐味を味わえます。また、周回を重ねるごとにさまざまなメックやタイムトラベラーがアンロックされていくので、ダメージ重視の編成を組んだり、突き飛ばしなどのかく乱を重視した構成にしたりと、部隊編成的な楽しみもありました。
「Into the Breach」は記事作成時点ではPC版のみの発売で、Steamで税込1520円で購入可能です。
Steam:Into the Breach
https://store.steampowered.com/app/590380/Into_the_Breach/
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