サイエンス

異例かつ大規模な北極のオゾンホールが突如として消失したことが判明


2020年3月、北極に異例かつ大規模なオゾンホールが突然発生したとして科学者らは懸念を示していましたが、欧州中期予報センターは2020年4月23日、発生と同様に突如としてオゾンホールが消失したことを発表しました。

The largest Arctic ozone hole ever recorded is now closed - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/arctic-ozone-layer-hole-closed/

North Pole's largest-ever ozone hole finally closes | Live Science
https://www.livescience.com/arctic-ozone-hole-closes.html

地球の大気にはオゾンの濃度が高いオゾン層が存在し、太陽からの紫外線を吸収しています。しかし、3月頃から北極上空のオゾン濃度が極端に低くなり、「オゾンホールが発生している」という異例の事態が報告されていました。欧州宇宙機関によると、南極では毎年秋に大きなオゾンホールが発生しますが、北極での発生は通常起こらないとのこと。

Rare ozone hole opens over Arctic — and it’s big
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00904-w


CAMS tracks a record-breaking Arctic ozone hole | Copernicus
https://atmosphere.copernicus.eu/cams-tracks-record-breaking-arctic-ozone-hole

しかし、北極のオゾンホールは発生と同様に突如として終わりを迎えました。オゾンホールが閉じていく様子は以下のような感じ。


また以下の図からも、4月半ばごろからオゾン層が急激に形を変えていく様子が見てとれます。


新型コロナウイルスのパンデミックによって大気汚染の大きな改善が報告されていますが、研究者はオゾンホールの変化とパンデミックの関連性について否定しています。

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欧州中期予報センターは「COVID-19やそれに関連したロックダウンとは関係がないでしょう。オゾンホールは通常、長期にわたって続く強力な極循環が原因で起こり、大気の質とは関係がありません」とTwitterに投稿しました。


またNASAによると、北極のオゾン濃度は2020年3月には記録的に低くなりました。北極において、同様のオゾン濃度の低下は1997年と2011年にだけ観測されたとのこと。

過去1世紀にわたってクロロフルオロカーボンと呼ばれる化学物質がオゾン層を破壊したことにより、1980年代には南極大陸でオゾンホールが確認されました。一方、通常3月~4月に高くなるはずの北極のオゾン濃度低下は「100年に1度の出来事」だとし、科学者の懸念材料でした。


4月初頭に欧州宇宙機関の科学者は、北極上空のオゾンホールが覆う範囲はグリーンランドの3倍だと発表しました。これと同時に、科学者は気温が上昇して北極の極渦が破壊され、オゾンの豊かな大気とオゾン濃度の低い大気が混ざり合うことで、オゾンホールが消えるとも予測していました。

1987年にモントリオール議定書が締約されたことにより、197カ国がクロロフルオロカーボンを含む化学物質の段階的廃止に同意しました。NASAの科学者であるポール・ニューマン氏は、2020年のオゾン層の変化について「原因はわからない」としつつも、「もしモントリオール議定書によりクロロフルオロカーボンの排出が止まらなければ、北極のオゾンレベル低下はより悪化していた可能性がある」と語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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