サイエンス

ついに気候変動でアマゾン熱帯雨林の二酸化炭素排出量が吸収量を上回る


これまで二酸化炭素の排出量と吸収量が均衡してきたアマゾン熱帯雨林ですが、9年間に渡る実地調査の結果、一部地域で排出量が吸収量を上回っているとの調査結果が報告されました。

Amazonia as a carbon source linked to deforestation and climate change | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03629-6


Southeast Amazonia is no longer a carbon sink
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01871-6

Amazon rainforest now emitting more CO2 than it absorbs | Amazon rainforest | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2021/jul/14/amazon-rainforest-now-emitting-more-co2-than-it-absorbs

ブラジル国立宇宙研究所のルチアナ・ガッティ氏らは2010年~2018年にかけて、熱帯雨林の上空4.5km地点で航空機による調査を実施。1月に2回、定期的に空気中の一酸化炭素および二酸化炭素の濃度を測定しました。

調査の結果、全体の約30%の森林が破壊されている熱帯雨林の東部では、破壊が約11%にとどまる西部よりも10倍近くの二酸化炭素を放出していたことが判明。特に南東部では排出が顕著で、森林が吸収するよりも多くの二酸化炭素が排出されたことが明らかになりました。


ガッティ氏らの調査の結果、南東部では森林破壊と気候変動を理由とした乾期の激化により火災発生が増加したことが判明。乾期の気温は産業革命前と比較して3度近く高くなっており、これは世界の年間平均の約3倍に相当するとのこと。

また、2021年4月にオクラホマ大学のYuanwei Qin氏らが発表した衛星データによる研究では、「2010年~2019年にかけてアマゾン熱帯雨林は166億トンの二酸化炭素を放出したが、吸収されたのはわずか139億トンだった」とする結果が報告されていました。

ガッティ氏らは「森林の減少が降雨の減少と気温の上昇を招いて乾期を激化させる悪循環に陥っている」と指摘。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのサイモン・ルイス氏は「森林破壊と気候変動が熱帯雨林からの炭素放出を促進し、さらなる温暖化を招くという事態は、まさに科学者が恐れていたことそのものだ。ガッティ氏らの調査は気候への影響が加速していることを示すいい証拠だ」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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