「退屈」が子どもやその親にとって有益である4つの理由とは?
何もやることや遊ぶものがない子どもが「退屈だ」と訴え、親を困らせるのはよくあることです。親も子どもたちの退屈を解消するためにあれこれと策を講じるものですが、8人の子どもを育てた母親であり人々の育児相談を受け付けているシェリル・バトラーさんが、「子どもが退屈しているからといって、必ずしも親が対応する必要はない」と主張し、その理由について説明しています。
4 Great Reasons Boredom Can Benefit Your Child
https://www.quickanddirtytips.com/parenting/school-age/4-great-reasons-boredom-can-benefit-your-child
25年間で8人の子どもを育ててきたバトラーさんは、子どもが「退屈だ」と言ってぐずり出す場面に何度も遭遇してきたとのこと。子育てに追われるバトラーさんは子どもが退屈しないように多くの努力を費やしてきましたが、子どもたちが退屈を感じなくなることはありませんでした。しかし、やがてバトラーさんは「子どもが退屈を訴えているからといって、必ずしも親がそれを解消する必要はない」という結論に辿り着きました。バトラーさんによると「退屈は子どもとその親にとって有益なものになり得る」そうで、以下の4つの理由を挙げています。
◆1:退屈は子どもの創造性を高める
ある日の午後、バトラーさんは一番年下の赤ちゃんの世話に追われ、他の4人の子どもたちを相手にする余裕がなかったそうです。普段であればバトラーさん自身が遊び相手になれなくても、子どもたちが退屈しないようにさまざまな準備をしていたそうですが、その日は忙しさのあまり何の準備もできなかったとのこと。
赤ちゃんの入浴や食事といった世話を終え、子どもたちが退屈しているだろうと思って他の4人の様子を見に行ったバトラーさんは、子どもたちが屋根裏部屋で「宇宙空間ごっこ」をしている場面に遭遇してとても驚いたと述べています。屋根裏部屋を宇宙空間に見立てたごっこ遊びは2時間以上も続いたそうで、バトラーさんは親が子どもの退屈を解消しようとしなくても、子どもたちは自分たちの創造性を発揮して退屈を解消できることに気づきました。
もちろん、子どもたちの退屈を解消しない方針に切り替えても、いきなり子どもたちが創造性を発揮して「宇宙空間ごっこ」などの遊びを発明するとは限りません。しかし、子どもたちが「自分自身で退屈な時間をやり過ごさなければならない」と理解した時、子どもたちは楽しみや喜びを見つけるために頭脳と想像力をフルに発揮し、創造性にあふれた時間の過ごし方を見つけるとのことです。
◆2:退屈な時間は子育てに追われる親の脳を休める
子育てに追われる日々を過ごしていたバトラーさんが「最も平和」だと感じた時間は、子どもたちが昼寝をしていた時でした。バトラーさんは昼食後に子どもたちをミニバンにのせてドライブし、子どもたちが昼寝をしている間にお気に入りのコーヒーショップで紅茶を飲む時間が、最も脳が休まる時間だったと述べています。子どもたちが静かになったドライブ中に、バトラーさんは音楽を聞いたりオーディオブックを聞いたり、あるいは耳も休めて周囲の景色を楽しんだりしたそうです。
バトラーさんにとって、子どもたちが退屈な時間は脳が休まる時間でしたが、同じことが子どもたちの脳にもいえるとのこと。普段から刺激に満ちた生活を送っている子どもたちは、退屈になると忙しく動いていた脳を休めて、静かで落ち着いた時間を過ごせるとバトラーさんは指摘。子どもたちは退屈を嫌がるものですが、退屈な時間は子どもたちにとっても安らぎの時間となり、忙しい成人期に備える基盤になるとバトラーさんは考えています。
◆3:退屈が子どもたちの興味を育てる
親は「子どもたちの想像力や興味を育む責任は自分にある」と考えがちですが、結局のところ、子どもの想像力や興味を育むのは子どもたち自身だとバトラーさんは指摘。バトラーさん一家のかかりつけ医だった小児科医の女性は、「子どものIQがどのレベルであろうと、子どもが過ごす全ての時間を親が計画するべきではない」と、バトラーさんにアドバイスしたとのこと。
小児科医の考えは、「物質的な所有であろうとボウリングや映画といった娯楽であろうと、子どもの時間をフルに満たす教育方針は、子どもたちに『外部的な動機付けに対する依存』しか与えない」というものでした。子どもが過ごす時間の全てを親がプロデュースするのではなく、何もすることがない時間をあえて残しておくことで、子どもたちが想像力を働かせることができ、自立心や柔軟性を持った大人になりやすくなるそうです。
子どもたちの遊びと成長に関する研究では、はっきりと構造化されていない遊びを行う子どもたちは意志決定スキルが成長し、興味のある分野を発見できることがわかっているほか、創造的な自由さも高いことがわかっています。親があえて子どもたちの時間を管理する役目から離れることで、子どもたちは自分一人、あるいは兄弟と共にさまざまな遊びを見つけ出し、自分の興味を育てることができるとバトラーさんは主張しています。
◆4:退屈は親を解放する
子どもを持った親は、「自分の家族が世界で一番の家族であって欲しい」との願いから、子どもたちが常に満足して幸せでなければならないという強迫観念にとらわれがちです。バトラーさんもかつてはそう思っていたそうですが、子どもたちがどのような時間を過ごしていても自分の子どもたちであることに変わりはなく、親も適度に休憩する必要があるとバトラーさんは指摘。もちろん、子どもたちにアクティビティや遊びを提供することも必要ですが、時には子どもたちを退屈なままにさせておいても、子どもたちは自分で勝手に退屈をやり過ごす方法を見つけられるとのことです。
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