レビュー

めちゃくちゃ精度が高いと話題の機械翻訳「DeepL翻訳」に日本語の翻訳機能が登場したので実際に使ってみた


近年ではオンラインの翻訳サービスに機械学習が用いられるようになり、以前よりも格段に翻訳の精度が向上しています。2017年8月にサービスが開始された機械学習を用いたオンライン翻訳サービスの「DeepL翻訳」が、日本語と中国語の翻訳に新しく対応したとのことで、実際に日本語での翻訳機能を試してみました。

DeepL翻訳
https://www.deepl.com/translator

DeepL翻訳が日本語と中国語を習得
https://www.deepl.com/blog/20200319.html

DeepL Translator gets support for Japanese and Chinese languages - gHacks Tech News
https://www.ghacks.net/2020/03/19/deepl-translator-gets-support-for-japanese-and-chinese-languages/


DeepL翻訳はドイツに本拠を置く企業によって開発された、機械学習を用いた人工知能による翻訳システムです。以前から英語・オランダ語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポーランド語・ポルトガル語・ロシア語・スペイン語などの言語に対応していましたが、2020年3月19日から日本語と中国語にも対応したと発表されました。

公式の発表によると、2020年初めにDeepL翻訳はニューラルネットワークの大幅な改善を行ったそうで、この改善によって日本語と中国語の翻訳精度が向上したとのこと。日本語と中国語の翻訳精度を確かめるためにDeepL翻訳はブラインドテストを行い、GoogleやAmazon、Microsoftなどの翻訳システムで訳した文章とDeepL翻訳で訳した文章を、翻訳システムの名前を伏せた状態で評価してもらいました。その結果、DeepL翻訳の精度は他の翻訳システムより優れているとの評価を受けたそうです。以下の画像がブラインドテストの結果を示したもので、縦軸が評価スコアを示しています。


DeepL翻訳を開くと、以下のような従来のオンライン翻訳サービスと類似した入力フォームが表示されます。フォームの左側に原文を入れると、右側に翻訳後の文章が表示されるという仕組みです。


実際に「ストレスと感情の反応」に関する英語の論文から文章を抜粋し、DeepL翻訳で翻訳させてみることにします。文章を貼り付けると言語が自動で認識され、翻訳がスタート。


数秒ほどで、右側のフォームに日本語の訳文が表示されました。「The aims of the present study were to examine whether daily stressors are associated with engagement in emotional support and whether these associations differ by gender.」という文章を「本研究の目的は、日常的なストレス要因が感情的支援への関与と関連しているかどうか、また、これらの関連性が性別によって異なるかどうかを検討することであった。」と訳しており、非常にこなれた日本語となっている印象。


同様の文章をGoogle翻訳に入力して翻訳させてみると、「本研究の目的は、日々のストレッサーが感情的サポートへの関与と関連しているかどうか、およびこれらの関連が性によって異なるかどうかを調べることでした。」という訳文になりました。意味は通じるものの、所々に「日々のストレッサー」「感情的サポート」といったカタカナ語があるほか、DeepL翻訳では「性別」と訳された部分が「性」となっているなど、日本語としての読みやすさという点ではDeepL翻訳の方が優れているように感じられます。


今度は論文の要旨(Abstract)を丸ごと貼り付けて、DeepL翻訳に翻訳させてみると……


しっかり意味の通った訳文が表示されました。長文でも読みやすい日本語の文章が維持されていることがわかります。


同様の文章をGoogle翻訳で翻訳させてみると、こちらでも意味は読み取れるものの、やや拙い訳文という印象です。


続いて、GIGAZINEの記事から抜粋した日本語の文章をDeepL翻訳に貼り付けて翻訳させます。


すると、特に問題なく英語に翻訳されました。


同じ文章をGoogle翻訳で英語に翻訳させてみた結果がコレ。二重のカギカッコが上手く読み取られなかったのか、文章の一部が抜けた状態で翻訳されてしまいました。


実際にDeepL翻訳を試した人からは、「方言まで訳すことができた」という報告も挙がっています。

https://t.co/hGo8Hn6Sme
噂のDeepLの翻訳を試してみた。論文の翻訳が話題になってたので、三重県松阪市の方言を入れてみた。翻訳できた。なにこれどうなっとんの? pic.twitter.com/7OzsJtwcmV

— さよなり????西村良太 (@sayonari)


この点を検証するため、方言が混じった口語に近い文章を英語に翻訳させてみます。DeepL翻訳に文章を入力して翻訳させてみると……


正確に文意をくみとって英語に翻訳できました。「授業で楽ができた」という意味の文章も、「it would have been so much easier in class(授業がもっと簡単だった)」と翻訳されています。


次にGoogle翻訳で実験してみると、こちらでも翻訳自体はできたものの、「授業で楽ができた」という意味の文章が「I really enjoyed my class(授業を楽しめた)」と翻訳されているなど、ちらほら問題点がある翻訳結果に。


なお、DeepL翻訳にはソフトウェア版も用意されており、公式サイトのダウンロードページからWindows版またはMac版をダウンロードすることが可能となっています。


DeepL翻訳を使ってみた結果、翻訳された文章が日本語としても読みやすい、こなれた文章になっていると感じました。DeepL翻訳は何百万という翻訳済みテキストを基に機械学習を行い、日本語と中国語の社内エキスパートからの助言を総合して日本語・中国語の翻訳を実現したとのことで、「日本語と中国語の追加により、潜在的な新規ユーザーが10億人以上となります」と公式ブログで述べられています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Google翻訳が突然「終末期」や「イエスの再来」などを予言してくると話題に - GIGAZINE

2000種類以上ものアフリカの諸言語を機械翻訳可能にするオープンソースプロジェクト「Masakhane」 - GIGAZINE

機械翻訳はWikipediaの翻訳ツールとしていまだに問題があり、Wikipedia自体の信頼性を低下させている - GIGAZINE

Googleが音声翻訳で話者の声を保ったまま翻訳させる画期的なシステム「Translatotron」を発表 - GIGAZINE

英単語の意味を「Ctrl+C」だけで爆速で調べられる英語辞書ツール「英語コピ郎君」レビュー - GIGAZINE

Googleがニューラル機械翻訳の弱点を克服すべくAdversarial Examplesを取り入れたモデルを開発 - GIGAZINE

Google翻訳で世界に平和を伝える旅をする青年の物語 - GIGAZINE

ディープラーニングで翻訳プログラムを0から作った人がその仕組みを複雑な数式ではなく図で解説するとこうなる - GIGAZINE

in レビュー,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.