全てのインフルエンザに対する耐性を高めるワクチンが臨床試験の最終段階へ
抗体反応と免疫系の変化を促進して、全てのインフルエンザ株に対する免疫反応を向上させるインフルエンザワクチン「FLU-v」が臨床試験の最終段階に入りました。
Immunogenicity, Safety, and Efficacy of FLU-v in Healthy Adults | Annals of Internal Medicine | American College of Physicians
https://annals.org/aim/article-abstract/2762723/immunogenicity-safety-efficacy-standalone-universal-influenza-vaccine-flu-v-healthy
Is a 'universal' flu vaccine on the horizon?
https://medicalxpress.com/news/2020-03-universal-flu-vaccine-horizon.html
A Potential Universal Flu Vaccine Just Passed an Important Clinical Trial
https://www.sciencealert.com/a-potential-universal-flu-vaccine-just-passed-its-fourth-clinical-trial
インフルエンザウイルスは複数存在しており、その年によって流行するウイルスは異なります。研究者は今後流行するウイルス株を予測して、その予測に基づいてワクチンを開発しているわけですが、流行が予想されていなかった、ないしは突然変異によって発生したインフルエンザウイルスが流行した場合には、ワクチンの効果は低くなってしまうのが現状です。
このような現状を打破しようと10年以上にわたって研究が進められてきたのが、インフルエンザウイルスの特定タンパク質領域を検出し、免疫反応の司令塔の役割を果たす「T細胞」を活性化させるワクチン「Flu-v」です。2020年3月10日に発表された論文は、被験者175人が参加した無作為化二重盲検プラセボ対照試験によって、「Flu-v」が服用者の抗体反応と免疫系の変化を促進して、インフルエンザウイルスに対する免疫を高めたことが示されたと報告しました。
T細胞をもとにしたインフルエンザワクチンについては、「2009年のH1N1インフルエンザの流行期に感染から免れた人々はH1N1ウイルスに対してT細胞が免疫応答していた」という研究結果から、注目が集まっていました。「Flu-v」開発チームは、コンピューターアルゴリズムを用いてインフルエンザウイルスの中でも「強い免疫応答を誘導する可能性が高いタンパク質領域」を特定。この結果をもとに、インフルエンザウイルス内の4つの領域をそれぞれ検出するワクチンを配合し、1つの部位が変異しても残り3つに対して免疫応答を行うように設計しました。
「Flu-v」はフェーズIからフェーズIIの臨床試験に合格したという段階で、開発チームはフェーズIIIに向けて資金提供を待っている段階とのこと。開発チームは今回の結果に関して「非常に有望」だと説明しています。
・関連記事
なぜ「インフルエンザにかかりにくい人」がいるのか? - GIGAZINE
インフルエンザに関する「6つの誤解」とは? - GIGAZINE
インフルエンザやカゼを防ぐのに実は効果のない方法・効果のある予防法とは? - GIGAZINE
新型コロナウイルスとインフルエンザの症状や予防策を比較するとこうなる - GIGAZINE
「新型コロナウイルスよりもインフルエンザが危険」な理由とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article Vaccines that raise resistance to all in….