CIAの重要機密情報「Vault 7」をWikiLeaksに漏らした容疑の元CIA職員が有罪に
2017年にWikiLeaksによって公開された、CIAの手がけた極秘作戦の実態を暴露する機密資料「Vault 7」の情報提供源だったと目される元CIA職員が有罪となりました。ただし、有罪となったのは法廷侮辱、およびFBI捜査官に対して行った虚偽の供述についてで、肝心の「機密文書の窃盗・送信」などについては有罪判決は下りませんでした。
Ex-CIA Accused of Leaking Secret Hacking Tools to WikiLeaks Gets Mistrial
https://thehackernews.com/2020/03/cia-joshua-schulte-hacking.html
Jury hung in case of CIA coder accused of cyberweapon leak - RFI
http://www.rfi.fr/en/wires/20200309-jury-hung-case-cia-coder-accused-cyberweapon-leak
「Vault 7」は、CIAによる各種端末のハッキング計画や、CIAが隠し持っていた一般に公開されていない脆弱性情報などをまとめた機密情報です。政府関係者や作戦に関与するハッカーに配布され、そのうちの1人がWikiLeaksに情報を提供したことで存在が明るみに出ました。
「自動車をハッキングして暗殺する」「テレビで部屋の会話を録音する」などCIAの極秘諜報作戦の実態を暴露する機密資料「Vault 7」をWikiLeaksが放出 - GIGAZINE
この情報の提供元として訴えられていたのが、元CIAのソフトウェア技術者である、ジョシュア・シュルテ被告です。被告はCIA、およびNSAで、敵対するコンピューターに侵入するためのハッキングツールやマルウェアを開発した人物。「Vault 7」の情報が公開された2017年3月にはCIAを退職済みでした。
捜査官は早いうちからシュルテ被告に目をつけていたらしく、「Vault 7」情報公開から5カ月後の2017年8月に逮捕されました。当初は「児童ポルノ所持」などの罪で起訴されていましたが、10カ月後に司法省が「機密情報窃盗」などについて、追加で訴えを起こしました。
2020年3月9日、連邦裁判官はシュルテ被告に対して、法廷侮辱、およびFBI捜査官に対して虚偽の供述を行ったという2つの訴因について、有罪を言い渡しました。ただし、主要な争点であったはずの「CIAから機密情報を盗み出した」など8件の訴因については、4週間の裁判を経ても「シュルテ被告が情報を提供した」という証拠がはっきりせず、有罪とはなりませんでした。
ニュースサイトのRFIでは、この判決を「司法省の恥ずべき敗北」と表現しています。
なお、3月下旬に訴訟の次の段階をどうするか審理が行われることになっているほか、児童ポルノ所持に関する裁判も別途行われる予定です。こちらの裁判で有罪だった場合、最大で禁固20年の刑が科されることになります。
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