サイエンス

地球外生命体を分散コンピューティングで探す「SETI@home」プロジェクトが専用ソフトへのデータ送信を終了、21年の歴史に幕


分散コンピューティングを用いて地球外生命体の探査を行うプロジェクト「SETI@home」が、「分析に十分なデータが集まった」として、2020年3月31日以降は分散コンピューティング用のソフトウェアへのデータ提供を止めると発表しました。

SETI@home Search for Alien Life Project Shuts Down After 21 Years
https://www.bleepingcomputer.com/news/software/seti-home-search-for-alien-life-project-shuts-down-after-21-years/

1999年5月に一般公開された「SETI@home」は、「地球外生命体の探査」および「ボランティア・コンピューティングの実証実験」を兼ねたプロジェクトです。ボランティア・コンピューティングとは、科学研究などにPCの余った計算リソースを提供する、という社会貢献活動を指しており、SETI@homeでは主にアレシボ天文台グリーンバンク望遠鏡で収集された電波データを、ボランティアが提供してくれた計算リソースを用いて分析してきました。

そんなSETI@homeが、「十分なデータが集まっており、バックエンドでのデータ分析に集中したいため、(ボランティアが分散処理に協力するための)クライアントに3月31日以降は新しいデータを送信しません」と発表しました。

ボランティアが分散処理に協力するために使用していた専用クライアント。3月31日以降はこのクライアントに分析するためのデータが送られなくなります。


SETI@homeはカリフォルニア大学バークレー校の宇宙科学研究所による地球外知的生命体探査プロジェクトの一部で、1999年のスタート以来、世界中の不可思議な電波や異常なデータを分析してきました。

SETI@home


SETI@homeは「データの分散処理を管理するのは大変な作業です。既に得られた結果のバックエンド分析を完了し、これを科学論文として発表することに集中する必要があります」と発表し、今後はボランティアのPCで分析されたデータをまとめて分析し、論文を発表していくことに注力するとしています。

なお、SETI@homeのクライアントにデータが送信されなくなるのが一時的なものなのか、それとも恒久的なものであるのかは記事作成時点では不明です。しかし、SETI@homeはボランティア・コンピューティングに参加したいユーザーに対して、別のBOINCプロジェクトに参加することを推奨しており、プロジェクトそのものの終わりが近いことを予期させています。

・おまけ
なお、新型コロナウイルスへの取り組みを発表した、分散コンピューティングプロジェクトの「Folding@home」も、ボランティア・コンピューティングのひとつです。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii

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