地球に「第2の月」が発見される、2~3メートルのミニサイズで地球のそばにいるのは一時的
地球の軌道上を周回する衛星としては月が存在しますが、そこに新たな天体が加わっていることが判明しました。2020年2月15日に発見された地球第2の月は、直径が約1.9~3.5mで、軌道が不安定なため地球の衛星でいるのは一時的だと見られています。
Earth has acquired a brand new moon that's about the size of a car | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2235427-earth-has-acquired-a-brand-new-moon-thats-about-the-size-of-a-car/
New 'mini-moon' orbiting Earth — for now, astronomers say
https://www.nbcnews.com/science/space/new-mini-moon-orbiting-earth-now-astronomers-say-n1143596
アリゾナ大学月惑星研究所の観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ」のメンバーであるKacper Wierzchos氏は2月26日に、「地球の軌道上には、小型の月の可能性がある物体『2020 CD3』が地球に一時的に捕獲された形で存在することが分かりました。これは、2月15日の夜に、カタリナ・スカイサーベイのチームメイトである私とTeddy Pruyneが発見した20等級の天体です」とTwitterで発表しました。
BIG NEWS (thread 1/3). Earth has a new temporarily captured object/Possible mini-moon called 2020 CD3. On the night of Feb. 15, my Catalina Sky Survey teammate Teddy Pruyne and I found a 20th magnitude object. Here are the discovery images. pic.twitter.com/zLkXyGAkZl
— Kacper Wierzchos (@WierzchosKacper) February 26, 2020
Wierzchos氏らは、2月17日までに30回を超える観測を行い、「2020 CD3」の存在や軌道を確認しました。Wierzchos氏は「『2020 CD3』は直径1.9~3.5mのC型小惑星です。サイズは小さくても、これは大きな発見です。なぜなら、『2020 CD3』はこれまでに100万個近く見つかっている小惑星の中で、地球を周回することが分かっている2番目の小惑星だからです」と指摘しています。
(3/3) The object has a diameter between 1.9 - 3.5 m assuming a C-type asteroid albedo. But it's a big deal as out of ~ 1 million known asteroids, this is just the second asteroid known to orbit Earth (after 2006 RH120, which was also discovered by the Catalina Sky Survey).
— Kacper Wierzchos (@WierzchosKacper) February 26, 2020
カタリナ・スカイサーベイは2006年にも、地球の軌道上を回っている「第2の月」である2006 RH120を発見しています。以前発見された「2006 RH120」は軌道が不安定だったことから、地球の衛星だったのは2006年9月~2007年6月までの期間だけでしたが、「2020 CD3」の軌道もかなり不安定だとのこと。
以下が実際に「2020 CD3」の軌道をシミュレーションした結果です。「2020 CD3」が地球に捕獲されたのは3年ほど前のことで、それ以来約47日で1周のペースで地球の周りを回っています。
(2/3) The object has just been announced by the MPC and its orbit shows that it entered Earth's orbit some three years ago. Here is a diagram of the orbit created with the orbit simulator written by Tony Dunn: pic.twitter.com/2wsJGtexiO
— Kacper Wierzchos (@WierzchosKacper) February 26, 2020
クイーンズ大学ベルファストの天文学者Grigori Fedorets氏はイギリスの科学誌New Scientistに対し、「私たちがこうしている間にも、『2020 CD3』は地球から遠ざかりつつあります」と述べて、2020年4月にも地球の軌道上から離脱してしまう可能性があるとの見方を示しました。
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