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テスラのオートパイロットについて不満をぶちまけていたAppleのエンジニアがモデルXの衝突事故に巻き込まれて死亡していたことが明らかに


電気自動車メーカーのテスラは自社製自動車にいち早く「オートパイロット機能」を実装していますが、同機能は「車線を誤認することがある」ということがドライバーにより度々報告されています。この「車線の誤認」により、テスラの電気自動車が何度も交通事故起こしていることが知られており、これらの衝突事故については記事作成時点でも調査が続いています。そして新たに公開された調査報告書から、テスラの衝突事故により死亡した人物が同社のオートパイロット機能について不満をぶちまけていたことが判明しました。

NTSB Opens Public Docket for 2 Ongoing Tesla Crash Investigations
https://www.ntsb.gov/Pages/default.aspx

Apple Engineer Killed in Tesla Crash Had Previously Complained About Autopilot | KQED News
https://www.kqed.org/news/11801138/apple-engineer-killed-in-tesla-crash-had-previously-complained-about-autopilot

2020年2月11日、アメリカにおける輸送に関連する事故を調査する国家運輸安全委員会(NTSB)が、2017年と2018年にテスラのモデルXが起こした2件の自動車事故に関する調査報告書を公開しました。

調査対象となったのは、2017年にフロリダ州デルレイビーチでモデルXが起こした衝突事故と、2018年3月にマウンテンビュー近くでモデルXが起こした衝突事故の2件。なお、1件目の事故ではドライバーのジェレミー・バナーさんが死亡しており、2件目の事故ではAppleでエンジニアとして働いていたウォルター・ファンさんが死亡しています。


NTSBが調査報告した2件の衝突事故については以下の記事の中で「衝突事故時に起きたエラーの詳細」についての分析がされており、「太陽光や照明などの強い光がカメラに入った状況下で、コンピューターが判断を誤るケースがある」と指摘されています。

ドライバーが死亡したテスラ・モデルXの事故は過去のケースと同じような状況で発生していたことが判明 - GIGAZINE


NTSBの調査報告によると、ファンさんは自身の妻に対して事故前から「オートパイロットで国道101号線を走っている際、(衝突事故を起こした)中央分離帯に向かってモデルXが走っていった」と、モデルXのオートパイロット機能に問題があると話していたことが明らかになっています。

また、弁護士によるとファンさんはモデルXのオートパイロットで起こる誤作動について、兄弟や友人にも話しており、ソフトウェアエンジニアの友人と共にオートパイロットのソフトウェアパッチについて議論し合うほどだったそうです。

加えて、事故現場で回収されたファンさんのiPhoneを分析した結果から、NTSBは「ファンさんが衝突事故時にiPhoneを使用していた可能性」を指摘しています。ファンさんが使用していた携帯キャリアはAT&Tであるため、同社の記録を調査したところ、モデルXの走行時にデータ通信が行われていたことが確認されました。しかし、NTSBは「何のためのデータ通信であったかは特定できなかった」と報告しています。なお、ファンさんのiPhoneが最後にデータ通信を行ったのは、衝突事故が起こる1分前だったそうです。


テスラの車両に搭載されているオートパイロット機能は、前方を走る車両から安全な距離を保つように設計された自動走行システムです。ドライバーの承認を得て車線を変更することが可能で、テスラはオートパイロット機能について「ドライバーをサポートするために使用されることを意図しています」と言及し、ドライバーは常にハンドルを握って介入できる準備をしておく必要があるとしています。

また、テスラは2018年3月の事故発生後に「ドライバーが車が発する警告に従わなかった」「ハンドルに手を置いていなかった」と、死亡したドライバーを非難するかのような声明を発表。さらに、2018年10月には安全性レポートを公開し、批判を集めるオートパイロットは事故発生の割合を70%以上も軽減すると発表しました。

テスラが安全性レポートを公開、オートパイロットは事故発生の割合を70%以上も軽減する - GIGAZINE


なお、NTSBは2020年2月25日にモデルXの衝突事故に関するヒアリング調査を行う予定となっており、ここで事故原因を特定し、安全性に関する推奨事項を作成する予定です。

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in ソフトウェア,   乗り物, Posted by logu_ii

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