「グランド・セフト・オートV」の開発会社が114億円以上も税金の支払いを回避していたことが明らかに、GTA最新作の制作費とのウワサも
by daviv cole
全世界で1億本以上を売り上げて世界で最も売れたゲームの1つに数えられている大人気ゲーム「グランド・セフト・オートV(GTAV)」の開発会社ロックスター・ノースが、イギリスの税控除システムを利用して114億円以上もの利益を得ていることが判明しました。
Rockstar takes the pot – 2019 accounts show huge increase in Grand Theft Auto tax claim – Tax Watch UK
https://www.taxwatchuk.org/rockstar_2019_tax_relief/
Rockstar and UKIE respond to Taxwatch UK's £37.6 million tax relief report - VG247
https://www.vg247.com/2020/01/20/rockstar-taxwatch-uk-vgtr-tax-relief-report-ukie-rockstar-response/
GTA 6 development apparently confirmed in Rockstar Games’ tax returns - VideoGamer.com
https://www.videogamer.com/news/gta-6-development-apparently-confirmed-in-rockstar-games-tax-returns
イギリスのシンクタンクTax Watch UKは、2020年1月19日に「イギリスのエジンバラを拠点とするロックスター・ノースが、2019年にビデオゲーム開発優遇税制(Video Games Development Tax Relief:VGTR)から3760万ポンド(約53億8655万円)を得ていたことが分かりました」と発表しました。
VGTRとは、映画やアニメ、文化芸術などの分野で活躍する企業の法人税を優遇するイギリスの(PDFファイル)クリエイティブ産業優遇税制の1つで、「イギリスらしい作品」などの条件をクリアすることで、ゲームの開発費の一部または全額が減免対象となります。
Tax Watch UKはこれまでにも、VGTRを利用するロックスター・ノースが法人税をまったく納めていなかったことを明らかにしています。
6500億円も売り上げた「グランド・セフト・オートV」の開発会社が法人税を1円も払っていなかったことが判明 - GIGAZINE
by BagoGames
VGTRの認定要件は非常にあいまいで、2018年10月にロックスター・ノースの親会社ロックスター・ゲームスがリリースした、西部開拓時代のアメリカをモデルとした「レッド・デッド・リデンプション 2」も「イギリスらしい」作品と認定されています。
Tax Watch UKの発表によると、ロックスター・ノースが2019年に請求した税控除額は、イギリスのビデオゲーム業界による請求額全体の37%にも及ぶとのこと。また、VGTRが制定されて以降、ロックスター・ノースが得た税控除額は合計で8000万ポンド(約114億6088万円)にのぼり、制度全体の控除額の4分の1を占めるとされています。
また、VGTRの恩恵を受けるゲーム開発企業は二極化が進んでいることも指摘されています。2019年のVGTRの請求345件のうち、315件が控除額が100万ポンド(約1億4000万円)未満で、控除額の合計は3000万ポンド(約43億円)でした。一方、100万ポンドを超えるのはたった29件ですが、その合計額は3,540万ポンド(約50億6000万円)と、制度全体の控除額の半分以上を占めています。VGTRを活用する大企業の中でも、ロックスター・ノースの請求額は突出しており、2位の企業の5倍以上にもなります。
Tax Watch UKは「イギリスの納税者がロックスター・ノースに支払った巨額の投資が、イギリスの利益になるかどうかは見ものです」とコメントして、本来は中小企業向けに設計された税制度が、大企業により乱用されているとの見方を示しました。
by duallogic
一方、ロックスター・ゲームスの広報担当者はビデオゲームブログVG247の問い合わせに対し「VGTRに支えられたイギリス産ゲームの成功は、イギリス経済と税収入に大きく貢献するだけでなく、将来にわたりゲーム開発の最前線におけるイギリスの立場を確固たるものにしています。事実、この減税により、我々はイギリスへの投資を大幅に増加させ、ロンドン・リンカーン・ヨークシャー・スコットランドなどイギリス各地で1000人以上の雇用を創出できました」と述べています。
また、イギリスのゲーム業界団体The Association for UK Interactive Entertainment(UKIE)も、「VGTRを介してゲーム業界に1ポンド投資されるごとに、イギリス経済に4ポンドの粗付加価値が還元されています。さらに重要なことに、VGTRは4320人もの生産性の高いフルタイム労働者を支えています」と述べて、VGTRの有効性を強調しました。
by nd3000
さらに、イギリスの大手紙The Guardianの報道では、VGTRの恩恵を教授しているのはロックスター・ゲームスだけではなく、映画会社ワーナー・ブラザースを擁するワーナーメディアのほか、日本企業のソニーやセガも2000万ポンド(約28億円)を超す利益をクリエイティブ産業優遇税制から得ていることが分かっています。
また、Tax Watch UKの発表から、GTAシリーズの新作を期待する見方もあります。ゲーム情報専門サイトVideoGamer.comは、「ロックスター・ノースは、GTAVやレッド・デッド・リデンプション 2以降、VGTRの対象となる『イギリス作品』を発表していません。それにもかかわらず、多額の制作費を示す控除額が請求されているということは、GTAVよりはるかに巨額の費用を要するGTAの最新作に費用が投じられていることを示唆しています」と述べて、新作ゲームの開発が進行中であることを指摘しました。
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