メモ

老後をベトナムで過ごすアメリカ人が増加中

by Roberto Trombetta

アメリカが1961年から1973年にかけて介入したベトナム戦争は、アメリカ国民の中で凄惨(せいさん)だった戦争として記憶されています。そんなベトナム戦争を実際に見知った世代が、老後をベトナムで過ごすという選択をしています。

Americans are retiring to Vietnam. Here's why - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/world-nation/story/2019-12-25/americans-are-retiring-to-vietnam-for-cheap-health-care-and-a-decent-living-standard

ベトナム戦争におけるアメリカ軍の戦死者は5万8000人ですが、はるかに多くのアメリカ軍人が精神的なストレス障害などを被りました。ベトナム戦争の傷が癒えないベトナム帰還兵は、戦争が終結した後に精神的な贖罪(しょくざい)のためにベトナムをたびたび訪れてきました。しかし今日、安価な住宅や医療などの一般的な理由でベトナムに戻るアメリカ人が増加しています。

かつてベトナム戦争に従事していたジョン・ロックホールドさんもその1人。ロックホールドさんは、戦争後はアメリカ国内の軍需産業で働いていましたが、1992年にベトナムで経済難民を支援するプログラムに参加。アメリカとベトナムが正式に国交を回復した1995年にベトナムへ移住し、2009年に結婚しました。

66歳となったロックホールドさんには、10歳と9歳の子どもがいます。子どもの出産にかかった費用は1200ドル(約13万円)と、アメリカに比べてはるかに安価。サイゴン川とその向こうに広がる都市を見下ろすことのできる20階建てマンションの1室は、4つのベッドルームに3つのバスルームユニットを備えており、170平方メートルとかなりの広さを誇りますが、2011年での価格は25万ドル(2700万円)だったとのこと。

By Peter Nguyen

ベトナムでは、ロックホールドさんのように広々としたマンションに住み、コックや部屋の清掃員を雇ったとしても、生活費は1カ月に2000ドル(約22万円)を越えることはありません。多くのベトナム人は戦争終結後の1975年に生まれたため治安も対米感情も良好で、ロックホールドさんが従軍経験について語った場合でも怒りを買うことはめったにありません。「ベトナム戦争後に親切にしてくれたのは、アメリカ人よりもむしろベトナム人です」とロックホールドさんは語りました。

ベトナム政府はビザ規則を緩和して、ロックホールドさんのようなアメリカ人の観光客や移住者を増加させる政策を打ち出しています。中国の好景気の影響を受けつつも、政治的には中国と独立しているというのも人気の要因の1つ。そういった要因や社会保障や福利厚生の手厚さなどから、ベトナムで過ごす退役軍人は増加し続けているそうです。多くは1年間の観光ビザでベトナムに滞在していますが、ロックホールドさんのようにベトナム人女性と結婚して長期滞在の資格を得た人もいます。

by Tùng Lycan

裕福な退職者を世界中から誘致している国は、ベトナムだけではありません。スリランカは現地の銀行口座に1万5000ドル(約160万円)を預けている55歳以上の退職者に更新可能な2年間のビザを発行しています。スリランカに滞在する人の一般的な生活費は、月額1000ドル(約11万円)から2000ドル(約22万円)です。カンボジアは国民1人当たりのGDPが1400ドル(約15万円)で、さらに安価に生活を送れます。

ロックホールド氏はベトナムについて、「かつてに比べ、医療や治安は大幅に改善されました。特に私が住む都市は、治安は世界で最も安全な都市の1つといえ、スリなどは聞いたこともありません」とコメントしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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