Apple・Google・Amazonがスマートホーム規格の標準化プロジェクト「CHIP」を始動、メーカーごとの互換性の垣根を破壊する取り組み
by Thomas Kolnowski
Amazon、Apple、GoogleというIT業界の大手3社と、IoTのオープン標準化を目指す団体・Zigbee Allianceが、新たなワーキンググループを結成することを発表しました。4社は「Connected Home over IP(CHIP)」と呼ばれるプロジェクトの下、よりセキュリティ面の安全性が高く、スマートホーム製品間の互換性を高めることが可能となる接続規格の開発・推進に取り組むそうです。
Project Connected Home over IP
https://www.connectedhomeip.com/
Amazon, Apple, Google, and the Zigbee Alliance and Its Board Members Form Industry Working Group to Develop a New, Open Standard for Smart Home Device Connectivity - Zigbee Alliance
https://zigbeealliance.org/news_and_articles/connectedhomeip/
Amazon、Apple、Google、Zigbee Alliance とその委員会メンバーによりワーキンググループを結成、スマートホームデバイス向けにオープンスタンダードの開発をめざす - Apple (日本)
https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/12/amazon-apple-google-and-the-zigbee-alliance-to-develop-connectivity-standard/
プロジェクト・CHIPは、複数の企業から異なる規格で販売されているスマートホーム製品向けの接続規格を標準化することで、異なるメーカーのIoT製品でも接続可能になるような「互換性の向上」を目指しています。加えて、昨今叫ばれ続けている「セキュリティ面の向上」にも取り組むことになるとのこと。CHIPの中で開発・推進されることとなる接続規格はロイヤルティフリー、つまりは使用料無料であらゆるIoT製品に組み込み可能となります。
なお、プロジェクト・CHIPに参加するのはAmazon・Apple・Google・Zigbee Allianceの4社だけでなく、Zigbee Allianceの委員会メンバーであるIKEA、Legrand、NXP Semiconductors、Resideo、Samsung SmartThings、Schneider Electric、Signify(元Philips Lighting)、Silicon Labs、Somfy、Wulianといった企業も含まれるとのこと。
CHIPの狙いはメーカー各社の開発業務を簡素化し、各社製品の互換性を向上させることで、プロジェクトは参加各社の「スマートホームデバイスは安全で、信頼性が高くメ-カー違いなどの垣根を越えてスムーズに使えるべきである」という共通の信念から生まれたとのこと。なお、CHIPについてAppleは「本プロジェクトでは、インターネットプロトコル(IP)に基づくことで、スマートホームデバイス、モバイルアプリケーション、クラウドサービスを通じた通信を可能にすること、また、デバイス認証のための特定セットのIPベースのネットワーキング技術を定義することを目指します」と記しています。
なお、Appleのスマートホーム規格であるHomeKitはIPおよびBluetooth LEで、Amazonのスマートホーム規格のWorks with AlexaはIPで、Googleのスマートホーム規格である「Works With Nest」および「Works with Google Assistant」はIPベースでの通信を採用しています。なお、ZigbeeおよびGoogleのNest製品は低電力・低データレートのメッシュネットワークを構築可能なIEEE 802.15.4ベースの通信を採用していると海外テクノロジーメディアのArs Technicaは記しています。
また、新しく統一された接続規格を開発するために、CHIPではオープンソースのアプローチを取る予定であることも明かされています。さらに、CHIPではAmazon、Apple、Google、Zigbee Allianceら参加メンバーがこれまでの開発の中で検証してきたスマートホーム関連の技術を活用する方針となっており、これにより開発が加速し、成果物を利用者により早く届けられるようになることを期待しているとのことです。
加えて、CHIPではAmazonの「Alexa」、Appleの「Siri」、Googleの「Google Assistant」といった音声認識アシスタント機能と互換性のあるデバイス開発を容易にすることも目指しているそうです。
開発計画にある接続規格は既存の技術を補完するものであり、ワーキンググループのメンバー企業は、デバイスメーカー各社に対し、利用可能な技術を活用した革新的な製品開発を奨励していくとのこと。なお、CHIPは「スマートホーム業界内で機器開発に取り組むデバイスメーカー、半導体開発製造を手掛けるシリコンプロバイダー、その他の開発企業の参加、新規格への貢献を歓迎します」として、プロジェクトへの参加を募っています。
Ars Technicaはスマートホーム業界のビッグ3に対してそれぞれ個別で取り組むよりも、単一の標準規格ですべてを網羅したIoT製品の開発ができるようになるということは、サードパーティのIoTメーカーにとっては喜ばしいことであると指摘。ただし、CHIPのロイヤルティフリーについては、「現在のZigbeeやAppleのHomeKitには当てはまらない」と記しています。
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