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マインクラフト上から争いをなくした「平和なゲームサーバー」をカトリックの司祭が立ち上げる


イエズス会の司祭であるロバート・バレサー氏は、シリコンバレーでエンジニアリングについて学んだという経歴を持つ人物です。そんなバレサー氏が、累計販売本数1億7600万本超で世界一売れたゲームになったマインクラフトのためにバチカンにマインクラフトのサーバーを用意しています。

This Vatican priest is making his own Minecraft server to offer a less-toxic community for gamers
https://www.vg247.com/2019/12/01/the-vatican-is-getting-its-own-minecraft-server-to-offer-a-less-toxic-gaming-environment-for-players/

マインクラフトはオープンワールドの中をプレイヤーが自由に冒険したり、建物や村を作ったりして遊ぶことができるゲームです。サーバーを用意すればオンライン上でマルチプレイが可能で、他人が立てたサーバーに遊びに行くこともできます。マインクラフトの自由度は非常に高く、ゲーム上で日本列島を再現したり、記憶装置搭載のワープロを作成したり、実際に動作する1KBの記憶装置を作成したりと、さまざまなクリエイティブな活動が行われています。その自由度の高さから、マインクラフトは子どもの創造性を高めたり問題解決能力を成長させたりすることにつながるとして、スウェーデンの学校ではいちはやくマインクラフトを必修科目にする動きが起こり、公式からは学校教育向けの「Minecraft: Education Edition」なるバージョンがリリースされました。

そんなマインクラフトでは、自分のサーバーで作り上げた超大作をインターネットユーザーに公開するためにサーバーを開放することがあるのですが、「荒らし」と呼ばれる一部の過激なプレイヤーがその場を荒らし、せっかくのクリエイティブな作品を台無しにすることがあります。

2014年にはデンマーク政府がマインクラフト上で自国を完全再現するという試みを行っていますが、このサーバーにも荒らしが出現して破壊活動が起こり、せっかくのワールドが台無しになりました。

マインクラフトでデンマーク政府が国土を4兆個・1TBもの超大作で再現したらぶっ壊されまくる事態に - GIGAZINE


こういった「荒らし」はマインクラフト上に限らず、さまざまなゲームで登場するものです。そんな争いの絶えないオンラインマルチプレイ環境を、バチカンが提供することで「通常よりも毒性の少ない環境にすること」をバレサー氏は目指しています。「創造性を自由に表現し、相互に関係を構築できるような環境の構築を目指している」とのことです。

毒性の少ないゲームのマルチプレイ環境を構築するというプロジェクトはTwitter上で始まり、バレサー氏がフォロワーに向けてテストサーバーを用意して欲しいゲームについて投票を行ったそうです。テストサーバーの構築候補となったゲームは、「Rust」「ARK: Survival Evolved」「Team Fortress 2」「マインクラフト」の4つ。投票にはTwitterユーザーが参加しており、64%の得票率でマインクラフトが選出されたそうです。


バレサー氏の試みに興味を持ったカトリック教会関連の報道機関・Rome Reportsによるインタビュー映像も公開されています。

Priest creates Minecraft for Vatican - YouTube


ムービーの中でバレサー氏は、「Googleの最新サービスや、大西洋で運用される光ファイバーについて話しても、誰もその内容を理解できませんでした。しかし、時間が経つにつれて、私がそういったテクノロジー関連の話に精通した司祭であることに周囲が気づき始めました」と語り、「ネット上の需要」と「テクノロジーに精通した人物であるバレサー氏」が偶然結びついたことで、バチカンにゲームのサーバーを構築するというプロジェクトが動き出したとしています。

Rome Reportsの報道によりバレサー氏の活動を知ったイエズス会の司祭であるジェームズ・マーティン氏は、「イエズス会における兄弟であり友であるロバート・バレサーが、バチカンのためにマインクラフトのサーバーを立てました」とツイートしており、司祭仲間の中でもバレサー氏のプロジェクトが話題となっていることをうかがわせます。


マインクラフトのテストサーバーは既に11月から運用されており、フィードバックを受け付けている最中とのこと。テストサーバーのアドレスは「minecraft.digitaljesuit.com」です。

バレサー氏はテストサーバーの参加者を「マニアックなことをしているオタクの集まり」と呼んでいます。


バレサー氏は定期的にテストサーバー上の様子をTwitterにアップしており……


「マインクラフト上でとても素晴らしいものを作る非常に才能のあるオタクたちがいます!」とアピールしていました。


しかし、Rome Reportsによるバレサー氏のインタビュー映像が公開されたところ、テストサーバーへのアクセスが一気に増加したようで、「ヘイ、Twitterユーザーのゲーマーたち。マインクラフトのサーバーが完全に泥沼状態に陥ってしまって申し訳ありません。現行のサーバーはテストインスタンスであり、ほんの数時間でこんなに盛り上がる(アクセスが増加する)とは思っていませんでした。サーバーをより大きな仮想マシンに移行することに取り組んでいます」とツイートし、アクセスが急増したことを明かしています。


さらに、「マインクラフトのテストサーバーのログを見ていると、プレイヤースロットを埋め、サーバーを落とすために絶えず接続・切断を繰り返しているユーザーがいるようです」と、荒らしの存在も報告しています。


なお、バレサー氏は2019年12月4日に「これまで運用してきたのはテストサーバーでしたが、これまで100個程度のユーザーIDとIPアドレスの禁止リストを構築することで、攻撃を仕掛けてくる荒らしに対処してきました。そして、明日、ようやく本番サーバーの運用を開始します。また荒らしによる攻撃を受けることとなるでしょうが、禁止リストにより有利なスタートを切ることができるでしょう」とツイートしています。

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in 動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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