サイエンス

6億900万年前の化石から動物か非動物か判別不可能な謎の多細胞生物「Caveasphaera」が発見される


6億900万年前の化石から、動物とも非動物とも区別のつかない多細胞生物が発見されました。この多細胞生物は動物のような発生学的特性を有しており、が動物の胚と同じように作用することが明らかになっています。

The Early Ediacaran Caveasphaera Foreshadows the Evolutionary Origin of Animal-like Embryology: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)31429-0


Animal-like embryos came before animals - UPI.com
https://www.upi.com/Science_News/2019/11/28/Animal-like-embryos-came-before-animals/6231574879420/

中国南部の貴州省で発見された6億900万年前の化石の中から、「Caveasphaera」と名付けられた多細胞生物が発見されました。しかし、研究者たちはこの生物が動物なのか、あるいは非動物なのかを判断することができませんでした。

この化石はCaveasphaeraのさまざまな発達段階がそのまま残った微化石の集合体であったため、そこに含まれる単細胞や多細胞を、X線顕微鏡を用いて分析したそうです。ブリストル大学の研究者であるケリー・バーガス氏は「化石を成長段階ごとに分類し、Caveasphaeraの発生学を再構築することができました」と語っています。


化石にはCaveasphaeraが胚から生物へと発達していく段階が残っていたため、それを細かく分析したところ、その過程で胚の細胞は分裂・侵入・剥離・凝集といったプロセスを経ることが判明しています。このプロセスは原腸が発達段階で行う細胞の動きと非常に似ているそうで、人間を含む動物の胚と非常に近い発達の仕方であるとのこと。

中国科学院南京地質古生物学研究所のZongjun Yin氏は、「我々の研究結果は、Caveasphaeraが胚発生中に『人間を含む生きた動物』と全く同じ方法で細胞が発達した、と分類したことを示しています。ただし、化石の中で見つかった胚がより複雑な生物に発達していったという証拠はありません」と語り、Caveasphaeraの胚が動物と同じような発達の仕方をみせているとしつつ、これが動物のような複雑な生物に成長したという証拠はないとしています。

研究者たちはCaveasphaeraが動物なのか非動物なのかの区別をつけられずにいますが、最新の分析により、この多細胞生物が動物のような胚の発育をみせていることから、異なる組織層や器官を作り出す能力を進化させていったのではと推測しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logu_ii

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