ペットの犬になめられたことで重度の感染症になった男性が多臓器不全で死亡
by Chiemsee2016
ペットの犬になめられた男性が感染症を発症し、多臓器不全で亡くなる事態が起きました。ペットにかまれたり、傷口をなめられたりして感染症になる事例はいくつも報告されていますが、この男性はかまれたわけではなく、傷があったわけでもないという、特にまれな状況でした。
Being Licked by a Dog Can Be Fatal: Capnocytophaga canimorsus Sepsis with Purpura Fulminans in an Immunocompetent Man | European Journal of Case Reports in Internal Medicine
https://ejcrim.com/index.php/EJCRIM/article/view/1268
Man dies after being licked by his dog and contracting rare infection - CNN
https://edition.cnn.com/2019/11/25/health/dog-lick-death-germany-scli-intl-grm/index.html
ドイツに住む63歳の男性は、発熱や進行性の呼吸困難、筋肉痛といったインフルエンザにも似た症状で入院しました。男性は健康体であり、過去に大きな入院経験もなく、最近海外に行ったこともなかったとのこと。医師による検査の結果、男性はカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌による感染症であることが判明しました。
カプノサイトファーガ・カニモルサスは健康な犬や猫の口の中に多く存在する細菌で、犬や猫にかまれると感染症になることがあります。男性は犬を飼っていますが、かまれたり、傷口をなめられたりはしておらず、今回は普通になめられただけで感染してしまったものとみられています。
症状は発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などで、重症例では敗血症や髄膜炎を引き起こし、本来ケガをした箇所のみで起こる血液凝固反応が全身の血管内で無秩序に起こる播種性血管内凝固症候群や、多臓器不全に至ることもある恐ろしい病気です。
by Marcelo Leal
一般的に、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症にかかりやすく重症化しやすいのは、脾臓を摘出した人やアルコール中毒の人、免疫不全の人といわれていますが、男性はいずれにも当てはまりませんでした。
それにもかかわらず、男性の症状は入院してから30時間で急速に悪化。重度の敗血症による紫斑が顔や手に広がり、腎不全や肝不全が進行したほか、指先が壊死するなどの症状も現れました。医師は抗生物質の投与や血液透析などの集中的な治療を行い、一時は心停止から蘇生に成功したものの、最終的に入院から16日後に男性は多臓器不全で亡くなりました。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は非常にまれな感染症であり、年間で100万人に4人以下の頻度でしか確認されていません。しかし、ペットの犬になめられた女性が死亡した2014年の事例や、傷口をなめられた女性が両手両足を切断することになった2019年5月の事例が報告されており、研究者は「ペットの飼い主はインフルエンザのような症状になった場合、速やかに医療診断を受けてください」と訴えています。
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