大の犬嫌いが海外の旅で学んだ犬に追われたときの対処術
犬に追われたとき、逃げてしまうと犬は更に激しく追ってくるので、アニメ「トムとジェリー」ばりに犬と自転車で追いかけっこばかりしていた、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。自転車で旅をすると、どうしても犬の問題が出てくるのですが、数多の戦いを繰り広げた結果、とあることに気づきました。
◆犬に追われたときは
こんな犬だらけの状況でも動じませんとも。
・自転車旅と犬
私はずっと犬が嫌いでした。小さな頃に住んでいたマンションの隣の家にいた犬によく吠えられたからでしょう。鎖で繋がれているとはいえ、自身の体と同じくらいの犬が、白い歯をむき出しにして吠えまくる姿は子どもながらに恐怖でした。「犬、怖い」という記憶が刻まれます。
でも、自転車世界一周の旅の中で随分と鍛えられました。慣れました。
やる気なさそうに座りながら口だけ「ワンワン」の奴もいます。それに比べて走って来る奴は真面目です。吠えながら威嚇してテリトリーから追い出そうと必死。石を投げられたり、時には車に轢かれそうになりながらも、その職務を全うしようとしています。ただ、こうして追いかけるのは自転車を理解しないアホ犬であり、賢い犬は追ってきません。
吠える犬の横で食事に勤しむ豚。豚は賢い。
一度だけですが、いきり立った攻撃的な小さな犬を、落ち着いた雰囲気の大きな犬が体を使ってふさいでくれました。
犬A「なんだー、あれは追いかけないと!」
犬B「いや、やめるんだ」
犬A「明らかに不審者だ、変態だ!そこをどけ!」
犬B「馬鹿がうつるからやめとけ」
と、会話内容は推測ですが、大きな犬に感謝です。
平和が一番。
・追ってきたら止まる
でも、大抵の犬は鬼の様な形相をして、物凄い勢いで突っ込んできます。そんな犬に対してチャリダーは逃げるしかないのでしょうか。
実は逃げてしまうと、犬も本能からか余計に興奮して追いかけてきます。だから、逆に止まることにしました。さらに、自転車からも降ります。そうすると、犬も「えっ、止まるの?」と動揺を見せます。ほとんどの犬がここで止まって、2~3mほど間合いを取ってくれます。
その後も吠え続ける犬には、石を手にとっては当たらないように威嚇。そうすると、犬も石が届かない距離に逃げていきます。我に返るって「好きでやってんじゃないよ、石投げるなよ」と肩を落として帰っていく犬もいました。飛び出してきた勢いからは信じられないくらい、しょんぼりとした背中でした。
帰ってくれなければにらめっこ。ともかく、間合いを取ることが大切です。人間が犬を怖がるように、犬だって人間が怖いのです。だから吠えるのです。間合いを確保しつつ、睨みを利かせながら歩いていきます。自転車に乗ると興奮するので、降りて歩くのがベターでした。犬が間合いを詰めようものなら、近寄ってこないように石を投げます。そうやって奴らのテリトリー(守備範囲)の外に抜けてしまえば犬の足も止まります。ピンチ脱出。そこから犬が追ってくることはありません。
・コロンビアにて
喰い殺さんばかりの鬼気迫る表情で駆け出していた3匹の犬たちもご覧の通り。私が止まったことで、おとなしくなりました。それどころか、目を合わせすらしません。「吠えていませんよ、おとなしい犬ですよ」と装う白々しい態度。
・ごくまれに失敗
ただ、この立ち止まり戦法、100%成功するとは限りません。ごくまれにですが、そのまま懐に突っ込んでくる犬もいます。こうなると想定外なので、こちらもパニック。噛まれてしまうと一巻の終わりですから、自転車から手を離して逃げる必要がありました。
◆悲惨な犬もいます
海外の犬もいろいろタイプがありましす。追っかけてくるのは基本、飼い犬か野犬。一方で街中で暮らす野良犬は地元民がぞんざいに扱っているので元気がありません。こういう野良犬とはトラブルも起きません。
メキシコのガソリンスタンド併設のコンビニで買い物した後、休憩しているとみすぼらしい犬が寄ってきました。明らかに疲れた顔をしています。食べ物が欲しそうな目をしていました。何を施すわけじゃないのですが、なんだか切なくなりました。
こちらはパナマです。海外の野良犬は哀愁漂う姿をしています。
◆犬に気をつけたい地域
海外の犬の危険度も地域によって千差万別です。ヨーロッパだと飼い犬ばかりですし、アフリカでは犬自体見ませんでした。イスラム教の影響が強いアラブ圏も犬は豚と並ぶ不浄な動物とされているのでその姿を見かけません。
海外で犬に気をつけたいのは次の地域。
南米。ラテンの明るい人々たちと同様に犬も自由きままといった感じでした。写真はペルー。
タイ。コンビニの前にたむろっていたり、空き地に犬小屋があったり、何かと犬を大切にしている国でした。
台湾。危険度は低かったですが、覚えておきたいところ。
インド。世界で一番犬が怖い地域でした。トラップのように路上に寝そべっているので足元には十分注意しましょう。
◆狂犬病の脅威
海外で犬に噛まれたら「狂犬病」の心配をしないといけません。発病したらほぼ死という恐ろしい病が、世界では猛威を奮っています。日本だと、人では昭和31年(1956年)、動物では昭和32年(1957年)を最後に発生が確認されていません。ただし、外国で噛まれて日本で発症したという輸入感染事例が3件あります。
そんな私もインドでは犬に噛まれてしまったので、現地の病院で計5回ワクチンを摂取しています。
・狂犬病|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/
トルコのイスタンブールにいた野良犬。管理されているようで耳にタグが付いていました。
◆まとめ
モンゴルで見つけた犬も心も温かくなるような光景。
国内、海外問わず犬と対峙したときのために、次のことを頭に入れておくといいでしょう。
・犬は逃げると追ってくる。
・犬だって人間が怖い。
・犬との間合いを確保する。
・犬のテリトリーから脱出。
犬と追いかけっこして、逃げ切れるといいのですが、そうでない場合が心配です。噛み付かれたら大ごとです。慌てると事故にも繋がりかねません。だから、私は止まります。クールダウンして、冷静にその場を収める方が安全だと思っております。
また、どうしようもないときは、周りの人にSOSを求めるという手もあります。その土地のプロの手助けほど心強いものはありません。あしらい方を知っています。
私なりの犬対処術はこんなところでしょうか。絶対ではありませんが、皆様の役に立てばと思っております。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/
・チャリダーマンには人生を駆けた自転車世界一周を一冊の本にするという夢があります。興味を持っていただける出版社、編集者の方いましたら、ご連絡いただけると幸いです。)
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