生き物

「植物には知性がある」と語る植物学者の主張とは?

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カナダのブリティッシュコロンビア大学森林保育学科のスザンヌ・シマーヌ教授が、「木々は菌類を媒介としてコミュニケーションを行っており、『ある種の知性』を備えている」と主張しています。

Never Underestimate the Intelligence of Trees - Issue 77: Underworlds - Nautilus
http://nautil.us/issue/77/underworlds/never-underestimate-the-intelligence-of-trees

シマーヌ教授は、菌類が植物の根に侵入して形成する共生体である菌根の研究を20年以上も続けてきた植物学者です。シマーヌ教授によると、木は菌根を通じて栄養素や水のやりとりを行うだけでなく、木と菌根の間に生じる相互作用によって、根が伸びる方向も変化するとのこと。木を「ノード」、菌根を「リンク」に例え、木と菌根の相互作用を「ニューラルネットワーク」とシマーヌ教授は表現しています。

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ある特定の木と、その木の種から芽生えた若木、特定の木とは関係のない木の3種類の木が菌根によって接続されている場合、親木と若木の間の栄養のやり取りが優先されるという研究もあります。また、菌根でつながった木々の中の1本が病気になった場合、他の木は病気の木に通常時よりも多い栄養を供給することも判明しているとのこと。シマーヌ教授は「植物はお互いの状態を知るだけでなく、相手の状態に応じて行動を変化させることがあります」と語っています。

さらに、木は攻撃を受けたときに『匂い』のような化学物質を分泌させ、この化学物質を検知した植物は行動に変化が生じることがわかっているそうです。それゆえ、シマーヌ教授は、「『コミュニケーション』の定義にもよりますが、木は化学物質を介してコミュニケーションをしています」とコメントしています。

シマーヌ教授は「知性」の定義を「特定の構造や機能を有している」ことだと述べて、「植物はニューラルネットワークを持っているだけでなく、相互にコミュニケーションを行い、メッセージを送受信します。さらに、植物には記憶が存在しますし、過去の経験から学習して、行動を変化させることもあります。これらは全て『知性』の特徴です」と語っています。

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また、シマーヌ教授は「植物は感情を持つのか?」という論争について、「人類の神経伝達物質の1種であるセロトニングルタミン酸は、植物中にも存在しています。葉を切り取ってダメージを与えたり、虫を載せたりしてストレスを与えると、セロトニンとグルタミン酸を盛んに分泌し始めます」と指摘し、「ダメージを受けたときにノルアドレナリンを分泌する人類と科学的な違いはあるのでしょうか」と述べました。しかし、シマーヌ教授は、「植物に感情があればいいな、と思っていますが、植物学者としては、『感情ではなく反応』だと認識しています」とコメントしています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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