植物は音を「聞く」ことが可能と判明
植物には目も耳もありませんが、害虫に食べられている際のそしゃく音を「聞く」ことができる、ということがミズーリ大学の研究チームにより明らかにされました。
MU News Bureau | MU News Bureau
http://munews.missouri.edu/news-releases/2014/0701-plants-respond-to-leaf-vibrations-caused-by-insects%E2%80%99-chewing-mu-study-finds/
Plants Can Hear Pests Attack | Agweb.com
http://www.agweb.com/article/plants-can-hear-pests-attack/
Plants Respond to Leaf Vibrations Caused by Insects’ Chewing, MU Study Finds on Vimeo
ミズーリ大学のRex Cocroft氏とHeidi Appel氏の共同研究により、植物は草食動物や害虫が自身を食べる際の音を感知し、それに反応して何かしらの防衛手段に移ることができる事が明らかになりました。
Cocroft氏は、芋虫が葉っぱを食べる際の音をレーザー技術を使った特殊な振動マイクを使って録音しました。なぜそしゃく音を録音するのかというと、芋虫が葉っぱを食べる際に発生する振動は、芋虫が葉っぱの上を移動したりする際に発生する振動よりもはるかにパターン化されているからです。
その後、Cocroft氏と研究チームは2つのシロイヌナズナを用意し、ひとつは何もしない状態で放置し、もうひとつには録音した芋虫のそしゃく音を聞かせる、という実験を行いました。実験の結果、録音した芋虫のそしゃく音を2、3時間聞かせたシロイヌナズナ方のは、アブラナ科の植物が虫に食べられないようにと分泌する「アリルイソチオシアネート(カラシ油)」を大量に出したそうです。
さらに、葉っぱの上に実際に芋虫を載せたり、風やその他の昆虫などの音を聞かせる実験も行ったそうですが、シロイヌナズナがカラシ油を分泌したのは、葉っぱの上に芋虫が載っている場合か芋虫のそしゃく音を聞かせたときだけでした。この結果、植物は自身が食べられている際のそしゃく音だけでなく、さまざまな音を器用に聞き分けている、ということも明らかになっています。
「我々が実験したのはシロイヌナズナやカラシ、キャベツなどのカラシ油を葉っぱから分泌させる植物の仲間たちです。このカラシ油は濃度が高くなれば、芋虫を殺すこともできます」と言うのはAppel氏。
現在のところ植物がどうやってこれらの音を聞き分けているのかは不明なままです。しかし、植物細胞の細胞膜には機械受容器と呼ばれるタンパク質が埋め込まれており、これは何かしらの動きに反応して信号を送る器官なので、Appel氏はこの機械受容器が音の振動を感知しているのでは、と考えているそうです。
なお、この発見は植物の生態のみならず、農業分野にも大きな影響を与える可能性があるそうです。
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