ウィル・スミス起用からアン・リー監督との作業・ポスプロ・プロモーションまで映画「ジェミニマン」全要素に関わったジェリー・ブラッカイマー氏にインタビュー
凄腕スナイパーのヘンリー・ブローガンを、ヘンリーをもとに生み出された20代のクローン・“ジュニア”が追いかける……というスペクタクル・アクション映画「ジェミニマン」が2019年10月25日(金)から公開となりました。ヘンリーを演じるのはウィル・スミス。ヘンリーの若きクローンである“ジュニア”は、ウィル・スミスの若メイクではなく完全フルデジタルで生み出された「20代のウィル・スミス」です。
現代の技術であれば俳優の若返りぐらいは軽くできてしまうことはわかりますが、「一人二役」ではなく、本人が「フルデジタルで生み出された若き日の自分の姿」と戦うというのはなかなか斬新な発想。どうやってこの作品を生み出して形にしていったのか、「トップガン」や「フラッシュダンス」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどを生み出したプロデューサーのジェリー・ブラッカイマー氏に話をうかがってきました。
インタビューに応じてくれたブラッカイマー氏
GIGAZINE(以下、G:)
これまで多数の作品を世に送り出しておられますが、「ジェミニマン」にはどのように関わっているのですか?
ジェリー・ブラッカイマー氏(以下、ブラッカイマー):
「全要素に関わっている」といっていいと思います。まずは脚本を見つけて、ウィルに声をかけて……アン・リー監督との共同作業として、撮影中は現場に顔を出し、ポストプロダクション作業のときも顔を出しました。もちろん、プロモーションも行っているので、こうしてここにいるというわけです(笑)
撮影現場の1シーン。左からアン・リー監督、ブラッカイマー氏、一人挟んでダニー役のメアリー・エリザベス・ウィンステッド、ヘンリー役のウィル・スミス。
G:
2002年に来日した際のインタビューで「一緒に仕事をしたい俳優リスト」について質問されています。このとき「もちろん、僕も一緒に仕事をしたいスターはたくさんいるよ!だけど大抵はみんな忙しくてなかなかつかまらないから、リストの中から選ぶのはそれほど困難な作業じゃないんだ(笑)。だから新人を発掘することも積極的にやっている。トム・クルーズやウィル・スミス、エディ・マーフィ、それからジョシュ・ハートネット。みんな今じゃ大スターだよね。」と答えておられました。今回はその、発掘した大スターであるウィル・スミスを主演として迎えていますが、大変ではありませんでしたか?
ブラッカイマー:
ウィルは世界的なスターで、紳士であり、仕事には熱心だし、想像力も豊か。そんな彼を迎えられたことは、本当に「夢が叶った」としか言いようがないことですね。
G:
ブラッカイマーさんはプロデューサーとして「フラッシュダンス」「ビバリーヒルズ・コップ」「トップガン」をはじめとして数々のヒット作を送り出しています。作品を成功に導くために、プロデューサーの立場だからできることというのはどういったことですか?
ブラッカイマー:
いい物語とキャラクター・設定、そして最高の役者たち、そして監督をはじめスタッフたちをそろえるようにすることです。これがそろえば、作品を成功に導けるはずです。
G:
今回、「ジェミニマン」の制作を進める上で困難だったのはどういった点ですか?
ブラッカイマー:
今のウィルが演じるヘンリーと戦う、若いウィルのキャラクター「ジュニア」ですね。ウィルの演技をもとに誕生したフルデジタルのキャタクターです。アン・リー監督とWETAデジタルが生み出しましたが、アンを含めて誰もうまくいく保証はしてくれないので、アカデミー賞監督なんだからやってくれるだろうと信じるしかありませんでした。
アン・リー監督&ブラッカイマー氏
G:
2002年のインタビューの中では「これまでにたくさんの映画を手がけてきたけれど、絶対に当たると確信したのは2本だけ。『ビバリーヒルズ・コップ』と『アルマゲドン』だ。後はどの作品も、いつも失敗するかもしれないと思うし、『頼むからヒットしてくれ』と心から願っているんだよ」という発言も出ています。「ジェミニマン」の日本公開にあたり、どのような期待と不安を感じていますか?
ブラッカイマー:
その2本についても「絶対に当たる」という確信はなかったんですよ(笑)
G:
そうだったんですか。
ブラッカイマー:
作品が当たるか失敗するかは、やってみないとわからないものですから。今回、「ジェミニマン」が日本で公開を迎えるにあたって、メディアの皆さん、ファンの皆さんにお目にかかった時に興奮した様子で感想をいただきました。みなさんに「ジェミニマン」を気に入っていただければ嬉しいです。
G:
ありがとうございました。
ブラッカイマー氏が「ジェミニマン」で狙ったのは、高精細な3Dと高速フレームレート(3D+ in HFR)で撮影・上映することによる、これまでになかった近さでスクリーンのアクションに肉薄できる「新たなシネマ体験」の提供です。これは、観客に映画館に足を運んでもらって大画面でスペクタクルを体験してもらうための「ビジュアルに特徴のある作品を作らなければいけない」という信念とも通ずるもの。どのようにビジュアルに特徴を持たせたのか、そして何が「新たなシネマ体験」なのかを体感するためにも、「ジェミニマン」を見るならぜひ3D+ in HFRでの上映が行われる劇場で見てみてください。
映画「ジェミニマン」は2019年10月25日(金)から全国ロードショー中です。
『ジェミニマン』本予告 - YouTube
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監督であるアン・リー氏へのインタビューは以下です。
映画「ジェミニマン」で「次のレベルの映画作り」が開けたというアン・リー監督にインタビュー - GIGAZINE
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