生き物

過去50年で野鳥の個体数が30億羽近く急減したことが判明

by ianpreston

生物学者のレイチェル・カーソンは1962年に出版された「沈黙の春」で、DDTをはじめとする農薬が環境に与える危険性を訴えました。世界的にベストセラーとなった「沈黙の春」の影響で、「鳥や虫が支える生態系と自然環境を守ろう」という環境保護運動が世界各国で生まれましたが、「過去50年で鳥の個体数が急減していて、北アメリカ全体で30億羽近く減少した」という研究結果が報告されています。

Decline of the North American avifauna | Science
https://science.sciencemag.org/content/early/2019/09/18/science.aaw1313


Silent Skies: Billions of North American Birds Have Vanished - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/silent-skies-billions-of-north-american-birds-have-vanished/


コーネル鳥類研究所の上級研究員で、論文の主著者であるケン・ローゼンバーグ氏は、鳥類の減少が大陸の食物連鎖や生態系に大きな影響を与える可能性を示唆しています。「鳥類は害虫駆除や受粉、種子散布に関わっています。鳥の監視は比較的簡単であり、鳥が生息しているかどうかは環境の傾向を示す有用な指標になる可能性があります」とローゼンバーグ氏は述べ、鳥類の減少は生態系全体の衰退を意味していると主張しました。

特に個体数が大きく減っていたのは、スズメやマキバドリなどといった農地や草原に生息する31種類の鳥類で、総計7億羽以上も減っていたとのこと。ローゼンバーグ氏は「世界的に行われている農業の集約化によって殺虫剤の使用が増加し、農地や牧草地、さらには原生の草原の環境が変化し、鳥類の生態系に影響を与えています」と指摘しています。

by USFWS Mountain-Prairie

また、土地開発と気候変動の影響を特に受けやすい沿岸部に巣を作るシギチドリなどは1970年代には既に絶滅危機だと指摘されるほど個体数が少なかったのですが、調査の結果、さらに3割以上減少していたことが判明しました。

さらに研究チームは、2007年から2017年までの渡り鳥の総バイオマスの変化を推定するため、143カ所の気象レーダー観測所のデータを参照しました。すると、アメリカ東海岸沿いを中心に渡り鳥の生息数が減少していたことが判明。スミソニアン博物館のスコット・シレット所長によると、大西洋に面するアメリカ東海岸は、北アメリカで生まれてカリブ海や中南米で越冬するアメリカムシクイツグミヘラサギといった渡り鳥の重要なルートの一部になっているとのこと。「沿岸部の開発が進むことで、岸辺の鳥や渡り鳥にとっての生息地が失われています」とシレット所長は述べました。

by USFWS Mountain-Prairie

しかし、農地や沿岸部に生息する渡り鳥が減少しているのに対して、アヒルやカモなどの湿地に生息する水鳥は増加していたとのこと。アメリカでは、1989年にThe North American Wetlands Conservation Act(北アメリカ湿地保護法)が成立し、湿地環境と生息する水鳥の保護に助成金を提供するプロジェクトが稼働しています。

ローゼンバーグ氏によると、湿地に住む水鳥の保護が手厚く行われているのは、水鳥がバードウォッチングだけでなく狩猟の対象としても人気があるからだとのこと。実際にプロジェクトへ多額の寄付を行う人の多くが娯楽で狩りを行うハンターだそうです。

by Torrey Wiley

また、アメリカの国鳥でもあるハクトウワシなどの猛禽(もうきん)類の個体数もわずかながら増加しているとのこと。この増加には法律による保護の他に、殺虫剤として使われていたDDTの使用禁止が大きく影響していることが明らかになったと、研究チームは主張しています。

シレット所長は、「バードウォッチャーや野鳥愛好家はハンターの保護活動から学ぶことができます」とコメント。「狩猟の対象にならない鳥を好む人は、保全プログラムを支援するハイキングやバードウォッチング機器への課税など、環境保護に貢献できる方法を考えなければなりません。水鳥の保護プログラムをひな形にして、野生生物保護プログラムのより広範なモデルを考える必要があります」と主張しました。

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in 生き物, Posted by log1i_yk

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