渡り鳥のように大規模移動をするチョウ「オオカバマダラ」の数が急速に減少中

by Bernard Spragg. NZ

主に北アメリカ大陸から南アメリカ大陸にかけて生息するチョウの1種「オオカバマダラ」は、1年のうちに南北3500キロに渡って大規模な「渡り」を行うことが知られています。しかし、近年オオカバマダラの生息数が急速に減少していると報じられています。

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北アメリカに生息するオオカバマダラのうち99%が、秋から冬にかけてメキシコ中部の山岳部に分布するモミの木の一種である「オヤメル」の森林で越冬することが知られており、気温が上昇すると再び北アメリカへ戻っていきます。北アメリカからメキシコへ南下する時は1世代で渡りを行いますが、メキシコから北アメリカへ北上する時は途中で世代交代を行い、3~4世代をかけて渡りを行うとのことで、南下する世代のほうが北上する世代よりも寿命が長い傾向にあるそうです。

あまりにも大量のオオカバマダラが一気にメキシコへやってくるため、オオカバマダラが鈴なりに止まったオヤメルの木の枝が、オオカバマダラの重みで折れることもあります。そんなオオカバマダラが2018年にメキシコで越冬した数は、2017年に越冬した数よりも15%も少なくなっていることがわかりました。

オオカバマダラの生息数を測定する際は、オオカバマダラが止まってオレンジ色になった樹木の面積から個体数を概算しますが、2017年には2.91ヘクタール(2万9100平方メートル)あったオレンジ色の面積が、2018年には2.48ヘクタール(2万4800平方メートル)まで減っていたとのこと。オオカバマダラの生息数は1996年から着実に減少しており、過去20年間で80%も減少したといわれています。

by Tarnya Hal

科学者や保護団体は、オオカバマダラの生息数が急速に減少している理由について「近年の極端な気候変動の他に、メキシコからカリフォルニアにかけて行われている違法な森林伐採が、オオカバマダラの生息地を奪っている。また、農作物を守るために散布される農薬により、農地の周辺で繁殖しているオオカバマダラが大量に死んでいる」と述べており、オオカバマダラの減少には人為的な影響が大きいとしています。アメリカではオオカバマダラが生息可能な繁殖地のうち、1億6500万ヘクタール(1万6500キロ平方メートル)が農薬によって失われているとのこと。

このペースでオオカバマダラが減少していくと、今後20年間でオオカバマダラが絶滅する可能性は72%、50年間で86%にものぼるとのことで、早急な対策が必要と考えられています。2017年末には100以上の動物保護団体や環境保護団体がアメリカ合衆国農務省に対し、オオカバマダラを保護するための資金を増額するように求めました。

しかし、オオカバマダラの保護には政府の政策だけでなく、オオカバマダラの生息地で農業を営む人々の協力が不可欠です。有害な農薬の使用禁止を訴えるメディアであるBEYOND PESTICIDEは、農薬を使っていない製品を購入することでオオカバマダラを含む虫たちを守ることができると述べています。「農薬を使わない有機農法であっても、周囲の環境を適切に管理することで高い収穫率を維持できます」と、BEYOND PESTICIDEはつづっています。

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