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スコットランドの自治体が行方不明になった「魔女の骨」についての情報を募集中

by darksouls1

スコットランドの公式な記録で「魔女」とされた女性の遺骨が行方不明になっているとして、スコットランド当局が情報提供を呼びかけています。

Wreath-laying in memory of the Torryburn 'Witch'.
https://www.fifedirect.org.uk/news/index.cfm?fuseaction=news.display&objectid=166C9C0E-C2F5-9888-310A3ADFD0A0BB15

Bid to return skull taken from Scotland's only witch grave launched - The Scotsman
https://www.scotsman.com/news/people/bid-to-return-skull-taken-from-scotland-s-only-witch-grave-launched-1-4991682

The bones of an 18th century ‘witch’ vanished decades ago. Now Scottish officials are hunting for them. - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/nation/2019/09/03/lilias-adie-th-century-witch-remains/

How to bury a witch - BBC News
https://www.bbc.com/news/uk-scotland-29689688

スコットランドのファイフ州にある古い港街トリーバーンで2019年8月31日、魔女として葬られた18世紀の女性であるリリアス・アディーの追悼式が執り行われました。

リリアス・アディーの没後315周年を記念する追悼式に出席したファイフ州のジュリー・フォード議員は、「彼女は偏見に満ちた時代の犠牲者でした」とコメントし、多くの無実の人々が魔女として処刑されたスコットランドの歴史を振り返りました。

フォード議員らがアディーの追悼式で花輪をささげている様子。


リリアス・アディーはスコットランドの公的な記録にも名前が残されている女性で、スコットランドで魔女として葬られた人々のうち遺体が確認されている唯一の例です。

アディーが魔女として裁判にかけられたのは、1704年のこと。8月下旬のある晩、飲酒中に幻覚を見た女性が「近所の誰かに召喚された悪魔サタンの仕業に違いない」と考えて、隣に住んでいた女性を魔女として告発しました。この女性がリリアス・アディーです。トリーバーンの聖職者の前に引き立てられた当時60~70代のアディーは、裁判で悪魔と淫行を働いた罪に問われることになりました。

当初は罪状を否認していたアディーですが、約1カ月にもわたる拷問の末に自白して罪を認めました。当時の裁判記録によると、アディーはトウモロコシ畑で牛のようなひづめを持つ悪魔に出会い、キリスト教の信仰を放棄するよう迫られたとのこと。そして、告発されたとおり悪魔とみだらな行為に及んだり、ほかの魔女と共に悪魔と踊ったりしたということです。


魔女であることを認めたことで、アディーは火あぶりによる処刑を言い渡されましたが、刑の執行を待たずに獄死したためトリーバーンの海岸に埋葬されました。一説には、自殺した可能性があるとも指摘されています。

地元の考古学者であるダグラス・スピアーズ氏によると、18世紀当時のヨーロッパでは、処刑により罪が浄化される前に罪人が死ぬと、悪魔がゾンビのようによみがえらせると信じられていたとのこと。当時の人々は悪魔がよみがえらせた死者を「レブナント(幽鬼)」と呼んで恐れており、埋葬の際には重い石板の下に埋めることになっていたといいます。

以下の画像は、2014年にスピアーズ氏がアディーが埋葬されたとされる海岸で発見した石板の写真です。


アディーの墓は、石板が発見されるはるか前に盗掘者によって暴かれており、1852年にはジョセフ・ニール・パトンという古物商が墓荒らしからアディーのものとされる頭蓋骨を買い取ったという記録が残っています。パトンはその後、アディーの頭蓋骨をスコットランドのセント・アンドルーズ大学に引き渡しましたが、1904年の記録を最後にアディーの遺骨は行方不明となりました。

以下の画像は、1904年に撮影されたアディーの頭蓋骨の写真です。


また、2017年にはイギリスの公共放送局・BBCが、頭蓋骨の写真を元に復元したアディーの顔を公開しました。


BBCの依頼により、アディーの顔を復元したダンディー大学の法医学者クリストファー・リン博士は、「今日ではアディーは魔女ではなく、恐ろしい災厄の犠牲者以外の何者でもないことが明らかになっています。ですから、アディーには意地悪な表情ではなく、柔和な表情をさせることにしました」と話しました。

また、歴史家のルイーズ・ヨーマン氏は、アディーが魔女裁判でほかの魔女について尋ねられても、既に魔女として処刑された人の名前しか出さなかったことを指摘し、「アディーは非常に勇敢で賢明な女性だったと思います」と述べています。

スコットランドでは、アディーのほかにも数百人から数千人もの男女が魔女として処刑されたとの記録が残っていますが、アディー以外は火あぶりにされてしまい、墓や骨も残っていません。このため、フォード議員らはアディーの遺骨の行方に関する情報提供を募ることにしたとのことです。

フォード議員とともにアディーの追悼式に参加したケイト・スチュワート議員は「犠牲者が無為に殺されたとは思いたくありません。アディーだけでなく、魔女と非難されて死んだ全ての人々のための記念碑を建てたいと思います」と語り、忌まわしい魔女裁判の記憶を後世に引き継いでいく考えを示しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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