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米海軍がミサイル駆逐艦のタッチスクリーンを廃止、その理由とは?


10人の死者を出したミサイル駆逐艦の衝突事故に関して、(PDFファイル)事故報告書で船が採用していた「タッチスクリーンのシステム」が事故原因の1つであると指摘されました。これを受けて、アメリカ海軍では複雑なタッチスクリーンのシステムを廃止し、機械的な操作に戻すことが発表されました。

Navy Reverting DDGs Back to Physical Throttles, After Fleet Rejects Touchscreen Controls - USNI News
https://news.usni.org/2019/08/09/navy-reverting-ddgs-back-to-physical-throttles-after-fleet-rejects-touchscreen-controls

The US Navy says no to touchscreens—maybe automakers should, too | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2019/08/the-us-navy-says-no-to-touchscreens-maybe-automakers-should-too/

The US Navy will replace its touchscreen controls with mechanical ones on its destroyers - The Verge
https://www.theverge.com/2019/8/11/20800111/us-navy-uss-john-s-mccain-crash-ntsb-report-touchscreen-mechanical-controls

2017年8月21日、シンガポール沖でミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」とタンカーが衝突して損傷し、乗組員10人が死亡、48人が負傷しました。

by STB-1

この事故の原因として船員の疲労や訓練が不十分だったことが挙げられていますが、同時に、船の操作盤にも問題があったと指摘されています。ジョン・S・マケインの艦橋では、ヘルムとリーヘルムという2つのステーションの操作盤で複雑なタッチスクリーンシステムを採用していました。調査の結果、当時のジョン・S・マケインでは「バックアップマニュアルモード」という、コンピューター補助をオフにするモードが使用されていました。これはつまりステーションの異なる船員が操舵を引き継げることを意味し、2つのステーションで操舵が移り変わり混乱を招いたことで、事故が起こったとみられています。

事故後のレポートでは、タッチスクリーンではない機械的な操作は即時にオペレーターに対して触覚的なフィードバックを返すという点が記されました。また、海軍が行った調査で海軍の船員は機械的なコントロールを好むことがわかっており、船のプログラムを取り仕切るビル・ガリニス提督はタッチスクリーンのシステムについて「できるからといってやるべきではないことの部類に入る」と語りました。


ガリニス提督はシステムを切り替える計画が進行中であることを発表しており、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦は2020年夏から物理的なスロットルを持つとのこと。

なお、ジョン・S・マケインの原因はタッチスクリーンだけではなく、14人の乗組員の平均睡眠時間が4.9時間だったこと、それぞれの役割に不慣れだったことも指摘されており、これらのレポートでは問題を改善する必要性も示されました。

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in 乗り物, Posted by darkhorse_log

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