LINEなどのメッセージアプリ全般がiOS 13のプライバシー規制に引っかかる可能性

By Roman Pohorecki

Facebookが5400億円もの制裁金を課された原因である「プライバシー問題」について、各社の対応が急務となっています。AppleはiOS 13でプライバシー規制を強化する見込みで、それによってFacebook Messenger・WhatsAppなどのメッセージアプリが打撃を受ける可能性が指摘されています。

Facebook Hit by Apple’s Crackdown on Messaging Feature — The Information
https://www.theinformation.com/articles/facebook-hit-by-apples-crackdown-on-messaging-feature

iOS 13 privacy feature will force total overhaul for Facebook apps | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2019/08/ios-13-privacy-feature-will-force-total-overhaul-for-facebook-apps/

アメリカのニュースメディアThe Informationによると、Appleが規制を強化する予定なのは、Voice over Internet Protocol(VoIP)と呼ばれるインターネット通話機能のバックグラウンド動作に関するもの。その背景には、バックグラウンドで動作するVoIPサービスは「端末情報や位置情報などを収集できる」という問題があります。

Facebook MessengerやWhatsAppなどのメッセージアプリはバックグラウンドでVoIPサーバーに接続し続け起動時間などを高速化しているため、iOS 13で強化されるプライバシー規制に引っかかってしまいます。プライバシーの規制強化が叫ばれる昨今、今回の規制強化は、第三者が個人情報を収集できてしまう可能性をできる限り排そうというAppleの姿勢の一環であるわけです。

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今回の規制強化で槍玉に挙げられる形となっているFacebookは、実際に数々のプライバシー問題を抱えています。Facebook Messengerは、実際にユーザーの通話履歴やメッセージ履歴を収集していたという事実もあります。

Facebookはユーザーのスマホ通話履歴やSMS履歴を収集していたことを確認、情報管理方法についての調査も始まる - GIGAZINE

AppleはWWDC 2019で今回の規制強化を公表した際に、「規制の目的はプライバシー保護の強化」だとうたっていました。しかし、The Informationは、「Appleの提供するiMessageと競合するメッセージアプリを締め付けるためでは？」と懐疑的に見ています。

Facebookの広報担当者は「Facebook Messengerでは、メッセージ機能の効率化のためにPushKit VoIP APIを活用しているだけで、VoIPを介して個人情報を収集しているといった事実はありません。我々は解決策を模索するため、Appleと協議中です」とThe Informationに述べています。一方で、Appleの広報担当者のコメントは得られなかったそうです。

VoIPを活用するアプリは、WhatsApp・Facebook Messenger・Skypeなどが代表的ですが、日本ではLINEがよく使われています。Appleは2019年9月にiOS 13のプライバシー規制の詳細を発表する予定で、この規制が適応されるのは2020年4月からとのこと。今回の規制の影響がどこまで広がるかは未知数ですが、各メッセージサービスは、2020年4月までにiOS版アプリの仕様変更を求められています。