メモ

「日本は暴力・薬物事件も少なく殺人件数も低く就業率も高いがいまだに貧困率が高い」と海外で報じられる

by schuldnerhilfe

アメリカでは保守派を中心に、貧困の原因を個人に帰する考え方があります。この考え方への反論として、「勤勉に働き、薬物乱用も犯罪も少なく、シングルマザーも少ないのに貧しい人が多い国がある」という例として、日本が引き合いに出されています。

U.S. Economy: Personal Bad Behavior Isn't What Causes Poverty - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2019-07-30/u-s-economy-personal-bad-behavior-isn-t-what-causes-poverty

これは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校経済学部の准教授で、Bloombergのオピニオン・コラムニストであるノア・スミス氏による指摘です。


スミス氏によると、アメリカの保守派の中には、貧困にあえぐ人々は、薬物やアルコールに夢中だったり、福祉に依存してしまっているせいで絶望的な状況にあるのだと考える人がいるとのこと。こうした見方に対して、個人に問題があるわけではないとスミス氏が例に出したのが日本の状況です。

日本はアメリカに比べて、暴力的な事件の数が少なく、特に「人口10万人に対する殺人事件の発生率」はアメリカが5.3なのに対して0.3と、圧倒的に低いのが特徴的。犯罪の発生率でも低い水準にあります。

by Alejo Reinoso

薬物については、依存症の治療が満足に行われていないという批判はあるものの、薬物に関する裁判事例は年間1万3000件とそう多くはないとのこと。

また、母子世帯・父子世帯の数も2016年の調査で約140万世帯、全世帯に対する割合は約3%と、アメリカよりかなり少ない数となっています。

そして、労働年齢の就業率も、アメリカの71%に対して日本は77%なので、働いている人が多いといえます。

by Arron Choi

こうした結果からは「日本には貧しい人は少ない」と考えるのが妥当です。しかし実際には、国民所得の中央値の半分以下の人口を示す「貧困率」は15.7%で、アメリカの17.8%よりは低いものの、カナダ(12.4%)、オーストラリア(12.1%)、イギリス(11.1%)、ドイツ(10.4%)、スウェーデン(9.3%)、フランス(8.3%)を上回っていて、「先進国にしては貧しい人が多い」という状況です。

このような、世界の他の先進国と同等かそれ以上に保守的な状況であるにも関わらず貧困が多いという日本の状況から、スミス氏は「保守的な貧困論に、何か大きな誤りがあることを示唆するものです」と語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
貧困下にあると貧しい現状で頭がいっぱいになり貧困から抜け出せなくなる - GIGAZINE

若者は上の世代の大人よりも貧困になっている - GIGAZINE

人は不平等を目撃すると暴力事件を起こしやすくなる、しかも富裕層サイドの方がその傾向が強い - GIGAZINE

ビル・ゲイツが称賛した「世界から貧困は減っている」というグラフを学者が完全否定 - GIGAZINE

これからの日本のためにも知っておきたい中米における格差社会の現実 - GIGAZINE

in メモ, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.