多くの開発者がうっかり海賊行為を働いてしまっている
By Envato Elements
ソフトウェア開発プラットフォームのGithubには、世界中の開発者たちが作り上げた様々なプログラムのソースコードがアップロードされています。フォントエンジニアのロエル・ニースケンスさんが、多くの開発者がそのリポジトリの中に商用フォントを含めており、海賊行為に加担してしまっているという指摘を行っています。
How Github became the web's largest font piracy site (and how to fix it) – Pixelambacht
https://pixelambacht.nl/2017/github-font-piracy/
フォントは通常のソフトウェアと同様、無料で利用できたり改変して再配布したりできるものもあれば有料のものも存在しています。フォントには使用上のさまざまな条件を付したライセンスが設定されており、有償フォントをウェブ上で利用したければ、その旨を含んだライセンスを購入する必要があります。多くの場合有償フォントの再配布はライセンスで禁じられており、ライセンスによってはサイトにアクセスしたユーザーの数に応じて課金されることもあるほどです。
しかし、最も普及している有償フォントである「Helvetica」をGithub上で検索してみると、10万件以上もヒットしてしまうことが分かります。
他にも、有償フォント大手のMyFontsが販売している2万9951フォントについてニースケンスさんが調べてみると、GitHub上には実に4分の1にあたる7617ものフォントが違法にアップロードされており検索に引っかかってしまったとのこと。2017年9月時点でのニースケンスさんの調査によると、Githubの検索に引っかかった有償フォントの上位10個は以下の通りだそうです。
1. Helvetica(10万194件)
2. Proxima Nova(6万7810件)
3. Myriad Pro(3万8793件)
4. Avenir(3万2327件)
5. Museo(3万1825件)
6. Lucida(2万7225件)
7. Futura(2万872件)
8. Fraktur(1万8908件)
9. Nexa(7071件)
10. Courier(6644件)
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こうした問題は、開発者が新しいウェブサイトを立ち上げる際に、画像やJavaScriptと一緒に有償フォントを含めたリポジトリを作成し、Githubにアップロードしてしまうことによって発生しています。開発者がライセンス違反に気づいていないことが原因のため、ライセンス違反を通知すれば良さそうに見えますが、Gitの性質上ここでさらなる問題が発生してしまいます。
というのも、Gitはリポジトリの過去の状態をすべて保存しているため、ライセンス違反していたフォントを削除しても、特定の操作を行うことでそのフォントを読みだすことが可能です。Githubはリポジトリの過去データからも完全にファイルを消す方法を公開しており、この方法を使えば自分のリポジトリから有償フォントを削除できますが、リポジトリを丸ごとコピーするフォークやクローンといった操作を他人が行っていれば、そのコピーされたリポジトリから有償フォントを消すには行為者にお願いするしかなく、完全に有償フォントを消すのは難しい状況となっています。
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ニースケンスさんは、有償フォントを利用する際はリポジトリを非公開にするか、Gitの設定でフォントが含まれているディレクトリをリポジトリに含めないように設定することを勧めています。
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