「笑い声の効果音」は面白さを増幅させるという研究結果
By Prostock-studio
多くのバラエティ番組では場を盛り上げる効果音として、「録音笑い/ラフトラック」が使用されています。バラエティや海外のコメディドラマなどで「ワハハ」といった笑い声を聞いたことがある人も多いはずですが、録音笑いは人が感じる面白さを増幅することが研究で示されています。
Modulation of humor ratings of bad jokes by other people’s laughter: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(19)30687-6
Good for a laugh: canned laughter makes jokes seem funnier | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2019/jul/22/good-for-a-laugh-canned-laughter-makes-jokes-seem-funnier
イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン神経科学研究所の副所長ソフィー・K・スコット教授率いる研究チームは、録音笑いの効果を調べるため、被験者に「あまり面白くないジョーク」を聞かせた後で録音笑いを聞いてもらい、面白さが増幅されるかどうかを調査しました。実験に使用された「面白くないジョーク」は親父ギャグの類で、「面白いジョーク」が使われなかった理由は録音笑いの効果が判別しにくいため。また、自閉症の人々は「笑い」の脳内処理が通常の人とは異なることが多数の実験で示唆されているため、72人の被験者うち24人は自閉症の人となっています。
被験者の半数には録音笑いとして「不自然な笑い声」を、もう半分には「自然な笑い声」をジョークの後に聞いてもらい、感じた面白さを1点から7点までで採点してもらいました。以下がその結果を示すグラフで、縦軸はそれぞれの得点を表しており、棒グラフが得点の平均値を示します。「BL」と書かれたグラフは録音笑いなしのジョークのみ。「不自然な笑い声」の結果は緑色、「自然な笑い声」は青色で示されています。自閉症ではない人(NT)も自閉症患者(Autism)も、双方ともに録音笑いを聞くとジョークをより面白く感じる傾向があり、さらに「自然な笑い声」のほうがより面白さを強めることがわかります。また、自閉症患者はそうでない人に比べて、ジョークを面白いと採点しました。
得点を集計した結果、「不自然な笑い声」の録音笑いはジョークの面白さを10%増幅させ、「自然な笑い声」の録音笑いはジョークの面白さを15%から20%も増幅させたとのこと。スコット教授は研究の結論に対して、「人は笑い声を聞くと、『面白いことを言われた』という情報だけでなく、『面白く感じていいんだ』という情報も受け取ることが今回の結果につながった可能性があります」と語っています。また、自閉症患者の点数がより高かったことについて、「自閉症の人のほうが『親父ギャグ』にオープンな心を持っているのかもしれません」と述べています。
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