温室で一軒家をまるまる囲って冬でも暖かく省エネなおうちを作る人が現る
冬が1年のうちで9カ月も続くスウェーデンのストックホルムに、家をまるごと温室の中に入れてしまうことによって、電気を使わず太陽の光を利用して温暖な気温を保てるようにした家が存在します。YouTubeで公開されているムービーから、温室ハウスでの生活の全貌を見ることが可能です。
Family wraps home in greenhouse to warm up Stockholm weather - YouTube
スウェーデンの首都・ストックホルム。
木々の生い茂る森の中に大きな家がたたずんでいます。
向かって右側の玄関から女性が入っていきます。
女性が入っていったガラス張りの建物の中には、木造の家が一軒、すっぽりと入ってしまっています。
別角度から見るとこんな感じ。家が2階建てになっていることがわかります。
温室の中に入ってみた様子がコレ。
温室の中、家の外にはらせん階段があり……
屋上には広々としたプレイエリアが広がっていました。
子どもが三輪車に乗って走り回れるほどに広々。
気温が低く外出できない日でも家の中でまるで屋外にいるかのように遊ぶことができます。1月のストックホルムは外気温がマイナス2度になる時もありますが、温室内は20度という暖かさを保てるそうです。ストックホルムの一般家庭では9月中旬から5月中旬までの9カ月間にわたってヒーターを使い続けるそうですが、この家に住むMarie GranmarさんとCharles Sacilottoさんは温室によってヒーターの稼働期間を6カ月間にまで短縮したとのことです。
また、温室なのでイチジク、ブドウ、トマト、キュウリなどを育てることも可能です。これらの植物は冬のスウェーデンの外気では生き抜くことができません。
ただし、外気温があまりにも低すぎると温室の中の温度も低くなってしまうため、植物を育てるためにヒーターを使うこともあるそうです。
2階から温室内を見下ろすとこんな感じ。
家の中へ。
白を基調とした部屋から……
温室内のベランダに出ることができます。
日差しが差し込むこのバルコニーで朝のコーヒーを楽しむこともあるそうです。
温室に使われているのは厚さ4mmのガラスで安全性の高いもの。基本的に割れることはありませんが、もし割れたとしても小さな破片として砕けるだけなので、ケガをすることはないとのこと。
「温室の建造費は高かった?」という質問には「難しい質問ですね。この温室を作ったのは10年前で、その時には8万ユーロ(約1000万円)がかかりました」と回答。
今度は倉庫のような場所に移動しました。
この温室では遠心分離機などで糞尿を水と堆肥に分離するシステムを導入している、とGranmarさんは説明。白いものが2階のトイレから流されてきた糞尿をためておくタンクで……
分離された水分だけがパイプを通り……
滅菌、洗浄などの処理を経て別のタンクで貯水されます。一連のシステムには全く化学物質が使われていないそうです。
タンクの水はプランターへ向かい、ここで第2の浄水が行われます。
このプランターではミントを育てているとのこと。
第2のフィルタリングを終えた水は外へと排出され、ここで植物の力で第3のフィルタリングが行われます。これらの処理により、汚水を直接海に排出するよりも環境にやさしい排水処理を行っているわけです。
さらにGranmarさんは林の中に。
ここには、最終的に堆肥として使われる生ゴミが入っていました。
水と分離されたふん便は乾燥処理によって最終的にはチリのような形になり、以下のように裏庭に捨てられ土に返るそうです。
「自給自足で、大きなシステムに頼らずに生活したいないら、このような仕組みを用いればどこででも暮らせるようになりますよ」とGranmarさんは語りました。
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